夏休みには、田舎の祖父母に会いに行ったり、友だちと遊んだりするような、大切な人との時間があるでしょうか。今回は、自分にとって大切な人とはどのような存在であるか、思いを巡らせる本を紹介したいと思います。

 まず、低学年向けに『かかしのトーマス』を。ドイツのとある村でキャベツ畑を見守るトーマス。お月さまとお話しするうちに、広い世界を見たくなりますが、それはなかなかかないません。しかし、その間にさまざまな存在と触れ合い、トーマスはかかしとしての自分の役割に気づいていきます。次に『ふしぎなともだち』は、現実の世界で友だちができないレオンと、目には見えない友だち・ボブのお話。ある日、レオンの隣に同じ年頃の男の子が引っ越してきて、レオンとボブの関係に変化が……。子どもにとって「目に見える友だち」と「目に見えない友だち」との対照を描いています。三冊目は、古くからオペラが根づき、歌や音楽に溢れるヴェネチアを舞台にした『町にながれるガブリエラのうた』。一篇のメロディが人々の心をつなぐ架け橋となり、多くの人を救うのです。

 続いて高学年向けには、『だれにも話さなかった祖父のこと』を。ロンドンに住むマイケルには、お母さんが「絶対に見てはいけない」という祖父がいました。戦争によって見た目が大きく変わってしまったからです。そんなおじいさんとマイケルは、ある夏をきっかけにお互いの心の距離を縮めていきます。『ブロード街の12日間』は、19世紀半ばのロンドンで、親も家もない13歳の少年イールがジョン・スノウ博士とともに、当時流行った疫病の謎に迫ります。「冒険+医学+科学」と、不思議な世界観を持った物語です。最後の一冊は、孤独な少年ハリドンと、「船長」と慕う人物との交流を描いた『曲芸師ハリドン』。大切な人が突然いなくなったら……。一晩の出来事ですが、黒雲のように膨れあがるハリドンの不安、そして「船長」を見つけたときの安堵を追体験してください。

 今回、実は裏テーマもあり、インナートリップのように日常と離れた世界を体験してもらえたらと、あえて外国が舞台の話を取り上げました。本の世界に短時間でも触れることで、想像力の躍動に身を委ね、リフレッシュしてもらえたらと思います。

『かかしのトーマス』

オトフリート・プロイスラー【著】
ヘルベルト・ホルツィング【絵】、吉田孝夫【訳】
12年刊/さ・え・ら書房/ 1,200円+税
Amazonで購入

心を持ったかかしトーマスが描いた夢

キャベツ畑にたたずむトーマス。もっと広い世 界を見たいと思いながらも、なかなか見に行く ことができません。そんな中、お月さまや風、子 どもたちなど、さまざまな存在からのアドバイ スや協力を得て、かかしである自分の在り方を 受け入れていきます。

『ふしぎなともだち』

サイモン・ジェームズ【著】、
小川仁央【訳】
99年刊/評論社/ 1,400円+税
Amazonで購入

目に見えない友だち、ボブがいるから大丈夫──。孤独な少年レオンが本当の友だちに巡り会うまで。

『町にながれるガブリエラのうた』

キャンデス・フレミング【著】
ジゼル・ポター【絵】、こだまともこ【訳】
15年刊/さ・え・ら書房/ 1,500円+税
Amazonで購入

一人の少女がくちずさむ歌 が、町の人々の間に広がり、 そのメロディはいつしかみん なのものに。

『だれにも話さなかった祖父のこと』

マイケル・モーパーゴ【著】
ジェマ・オチャラハン【絵】
片岡しのぶ【訳】
Amazonで購入

祖父と孫の心の交流を 描いた珠玉の物語

「見てはいけない」と母親に言われていた祖父を罪 悪感に駆られながらも盗み見ていたマイケル。しか し、それが意外な結末に──。戦争、孫と祖父、 その人をおもんぱかって視線を向けないことの真の 意味など、さまざまな糸で織りなされた物語です。

『ブロード街の12日間』

デボラ・ホプキンソン【著】、 千葉茂樹【訳】
14年刊/あすなろ書房/1,500円+税
Amazonで購入

13歳の孤児イールとジョン・ スノウ博士が19世紀のロンドンに蔓延した疫病撲滅に挑 みます。

『曲芸師ハリドン』

ヤコブ・ヴェゲリウス【著】、 菱木晃子【訳】
07年刊/あすなろ書房/1,300円+税
Amazonで購入

一緒に暮らす「船長」を探 し、不安を抱えて夜の町を走るハリドン。その結末に心が温まります。

『野生動物のお医者さん』


齊藤慶輔【著】
09年刊/講談社/ 1,100円+税
Amazonで購入

野生動物の傷の完治と同時に大切なこと

治療後、野生に返すことを励行しようというポリシーを持つ、日本ではまだ珍しい野生動物専門の獣医師・齊藤慶輔さんの仕事に迫ります。

今月の新刊案内
仕事について考えてみる秋
「子どもには世界を視野に入れて夢を追ってほしい」と考えているお父さんお母さんに、ぜひ読んでいただきた...>>続きを読む
今月の新刊案内
深まる秋を彩る秀逸な物語たち
児童文学のノーベル賞とも言われる国際アンデルセン賞作家賞を受賞した上橋菜穂子さん。大人も夢中にさせる...>>続きを読む
サイトマップ
人気記事ランキング
01 特集
そのひと言が子どもを変える! 学力を伸ばすほめ方・励まし方
02 スペシャルウィーク
9歳までに身につけたい国語力
03 子育てに効く脳科学のお話
頭をよくする方法はある?

サイト内検索
 

RSS登録
これまでの特集記事



気になる記事ピックアップ
これまでに公開された記事の中から気になる記事をランダムでピックアップし、表示しています。