右:『紋切型社会 言葉で固まる現代を解きほぐす』武田砂鉄【著】/ 15年4月刊/朝日出版社/ 1,700円+税Amazonで購入
左:『ルポ母子家庭』小林美希【著】/ 15年5月刊/筑摩書房/ 820円+税Amazonで購入

小学生の頃、先生と保護者の間で回覧するノートをこっそり読んだことがあります。中でも忘れられないのが、息子を一人で育てていたお母さんの自己紹介文。お父さんがいない理由を率直に打ち明けていらっしゃいました。よその子に見られることは想定していなかったでしょうが、家族にはいろんな形があって、抱えている事情もそれぞれ違うのだと教えてもらった気がします。小林美希さんの『ルポ母子家庭』を読んで思い出しました。シングルマザーの生活実態を取材したノンフィクションです。過酷な状況を伝えるだけではなく、母子をサポートする人たちの取り組みも紹介されています。

   

登場するお母さんの年齢は、20代から50代まで。夫と死別した人、借金やDVが原因で離婚した人、未婚のまま出産した人など、一人親になった経緯もさまざまです。ただ一つ共通するのは、子どもの将来を心配していること。経済的に自立できる収入があるお母さんも、安定した仕事が見つからず困窮しているお母さんも〈親として当たり前のことを子どもにしてあげたい〉と望んでいるのです。その望みをかなえることは〈社会全体の財産になるはずだ〉と著者は説きます。人生に予期せぬ変化が起こっても、誰もが子育てに希望を持てる社会にするにはどうしたらいいのか。当事者ではなくとも考えずにはいられません。     

 もう一冊のおすすめは、武田砂鉄さんの『紋切型社会』。巷にあふれる紋切型の言葉を切り口に、現代社会を考察しています。まず引き込まれたのは、著者が書籍の編集者をしていたときの経験談。文庫の帯文を〈待望の文庫化〉というフレーズで締めくくったら、上司に〈これは、誰が待望しているの?〉と聞かれ、返答に窮したのだそうです。そこから著者は〈新進気鋭〉〈全米が泣いた〉〈渾身の〉といった映画や本にありがちなキャッチコピーを例に挙げつつ、中身が問われる批判は敬遠され空虚な絶賛の言語ばかりが広まっていることを指摘します。

    

ほかにも〈国益を損なうことになる〉〈会うといい人だよ〉〈逆にこちらが励まされました〉など、多くの人が無意識に使っている決まり文句が俎上に載せられています。いずれも深く掘り下げていくと、今の日本の問題点を表していることがわかるでしょう。言葉は時代を反映するものなのです。




『ふむふむ おしえて、お仕事!』
三浦しをん【著】/ 15年5月刊/
新潮社/ 590円+税
Amazonで購入

靴職人、お土産屋、動物園飼育係など、夢をかなえて働く15職種16人の女性に、本屋大賞受賞作『舟を編む』で知られる人気作家がインタビュー。仕事の話を通して、一人ひとりの女性の魅力が浮かび上がります。





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