歴史を学ぶというと、どうしても暗記などの受け身な姿勢になりがちです。でも、「公式な歴史」と、市井の人々が生きた「名もない歴史」が出合う瞬間、初めて自発的な学びが生まれます。

生きた学びは、そうした「瞬間」を経験した人々の思いを追体験することになり、誰かに伝えたいという気持ちにもつながります。今回はそうした観点で探した本をご紹介します。

低学年におすすめなのは『パンプキン! 模擬原爆の夏』です。模擬原爆とは、原爆投下の練習として落とされた爆弾、通称・パンプキンのこと。大阪府東住吉区の田辺にはその碑が建っていて、主人公はその近くに住む小学5年生の女の子。東京から従兄弟がその碑を調べに来ると聞いて、興味を持ち始めます。読み進めるうち、原爆という歴史に自分たちの生きる時間を重ね合わせられるのではないかと思います。

『いわたくんちのおばあちゃん』は、いわたくんちに遊びに行った小学生の目線で書かれた物語。写真を撮られるのを嫌がるおばあちゃん。そこには戦争にまつわる、ある理由がありました。

『地震のはなしを聞きに行く』では、東日本大震災で父親を亡くした著者が現地におもむき、悲しみや悔しさを乗り越えながら、なぜ地震や津波が起こるのかについても調べていきます。

続いて、高学年向けには『ともしび』を。東日本大震災をめぐる、人々の生き死にについて書かれています。それぞれのエピソードの中に、さまざまな意味が何重にも込められているので、読みながら感じ取れることが多いでしょう。

『定本 黒部の山賊 アルプスの怪』は、アルピニストでもある伊藤正一さんが書いたもの。山男や河童など、伊藤さんが体験した摩訶不思議な話を通じて、山で暮らす人間が捉えた山の姿を共有できたらと思います。

『15歳の東京大空襲』は、昭和20年3月10日に東京・向島で大空襲を受けて生き残った人のお話。この日は約10万人もの人々が亡くなっています。3・11だけではなく、大空襲のあった3・10も、日本人にとっては大事な日だと思います。今なお世界各地でさまざまな争いが繰り広げられています。戦争の追体験をすることで、自分たちなりの考え方をつくっていってもらいたいと思います。

『パンプキン! 模擬原爆の夏』

令丈ヒロ子【著】、宮尾和孝【絵】
11年刊/講談社/ 1,200円+税
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約5 0の地域に落とされた
模擬原爆について知ろう

原爆の前哨戦として落とされた模擬原爆。通称・パンプキンと呼ばれる爆弾で亡くなったり、ケガをしたりした人たちがいるという歴史的な事実も忘れてはいけないことだと思います。物語の主人公たちと一緒に、この出来事に向き合える一冊です。

『いわたくんちの おばあちゃん』

天野夏美【著】、はまのゆか【絵】/
06年刊/主婦の友社/ 1,500円+税
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写真を撮られるのが嫌いなおばあちゃん。なぜ、嫌がるのか? そこには戦争にまつわるある理由が……。

『地震のはなしを聞きに行く 父はなぜ死んだのか』

須藤文音【著】、下河原幸 恵【絵】

13年刊/偕成社 / 1,400円+税
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父親が死んだ理由に少しでも近づきたい。その思いを胸に、著者は地震や津波への知識も深めていきます。

『ともしび 被災者から見た被災地の記録』

シュープレス【編・著】

11年刊/小学館/ 1,200円+税
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戦争は少女の心から
何を奪い去ったのか?

「車で避難しようとしたが何かにぶつかり、車を捨てて逃げたことで助かった。後日見に行くと、それは先祖の墓石だった」など、東日本大震災にまつわるエピソードを写真とともに集約。ずっと語り継いでいきたい「あの日」が詰まった一冊。

『定本 黒部の山賊 アルプスの怪』

伊藤正一【著】
14年刊/山と渓谷社/ 1,200円+税
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山男や河童など、摩訶不思議な話を交えながら、山で暮らす人々が捉えた山の姿を共有することができます。

『15歳の東京大空襲』

半藤一利【著】
10年刊/筑摩書房/ 780円+税
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東京が火の海と化した昭和20年3月10日。それを追体験することで、自分なりの平和を考えてみましょう。

『きみ江さん ハンセン病を生きて』

片野田斉【著】
15年刊/偕成社/ 1,600円+税
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きみ江さんを通して
ハンセン病を知る

元ハンセン病患者として、社会と戦い続けている山内きみ江さん。それだけでなく、強く明るくくじけない、きみ江さんの人柄にも惹かれる一冊。

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