自分が読み慣れた作家やジャンルの作品を、次々読み進めるのも楽しいものですが、読書とは、そもそも未知の世界と気軽に向き合う体験です。今回は、本来なら2〜3学年先に出会うような本を、特別に少しだけ紹介します。ちょっとだけ背伸びして、チャレンジしてみてください。

低学年には、視野を広げてくれる本を選びました。一冊目は『いのちのバトンリレー』。肝臓の移植手術をしないと命が危ない村木理恵さん。彼女を救うために、たくさんの〝いのち〞のリレーがありました。同世代の子どもたちの、こうしたやり取りを知ることで、世界観が広がるのではないかと思います。次は『6月31日6時30分』。非常にとんちのきいたお話で、主人公のロコちゃんとイヌのポレが登場し、言葉の不思議についてストーリーが展開。話の筋があるような、ないような、そんな不思議な世界を楽しんでください。最後は『ひとりでいらっしゃい』です。子どもたちが一人で指定の場所に行き、怖い話をしたり聞いたりして、また一人で帰ってくる。こんな設定はなかなかないので、刺激がほしい子にはぴったり。昔話を今までとは違った視点から読めるようになる『あたまをひねろう! 世界のなぞかけ昔話2』(晶文社)もおすすめです。

高学年には、子どもと大人の境目にある本を選んでみました。一冊目は『ミリアム』を。ある冬の日に出会った少女と老婦人。ところが少女の言動に老婦人の生活はかき乱され……。寒い冬の日に、温かな部屋に一人でいる安心感と、そして同時に寂しさが渾然一体となって迫ってくる、新しい世界を覗くことができます。二冊目の『わんぱく時代』は、佐藤春夫さんの自伝的作品。小学生時代の友だちとのいざこざや初恋が描かれる一方で、戦争に向かっていく世相も描かれています。自分の周りを見てみるという視点を与えてくれる一冊。最後の『ボッコちゃん』はロボットの女性と人間の男性のやり取りを通じ、少々皮肉を帯びながら、大人の世界を描写しています。背伸びしたい子にはおすすめです。

冬期講習も始まり、6年生は最後の仕上げの時期。3〜5年生は新しい学年に向け、強い意志を持つ時期だと思うので、本の世界でも背伸びをしながら乗り越えていってほしいですね。

『いのちのバトンリレー 臓器移植を乗り越えた少女と白血病の少年の物語』

関朝之【著】
07年刊/ハート出版/ 1,200円+税
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いのちが受け継がれていく
尊さを描いた感動作

プロレスラーの故・ジャンボ鶴田さんに由来する「ジャンボ鶴田基金」、肝移植を望む村木理恵さん、骨髄移植で白血病から生還し、今度は村木さんの力になりたいと行動する古田淑樹くん……。“いのち”のリレーを描いた感動のドキュメンタリーです。

『6月31日6時30分』

寺村輝夫【著】、安野光雅【絵】
14年刊/復刊ドットコム/ 1,800円+税
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日本語という言葉の新しい世界に触れられる物語。安野光雅さんの挿絵もすばらしいです。

『ひとりでいらっしゃい ─ 七つの怪談 ─』

斉藤洋【著】、奥江幸子【絵】

94年刊/偕成社/ 1,200円+税
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一人で行って、話して聞いて帰ってくる。通常の怪談とはひと味違う刺激に出会えるお話です。

『ミリアム(『夜の樹』収録)』

トルーマン・カポーティ【著】、川本三郎【訳】

94年刊/新潮社/ 590円+税
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冬の夜の寒さと温かさが
渾然一体となった物語

ある冬の夜、未亡人ミラーのもとに、ミリアムと名乗る少女が訪れます。生活をかき乱され困惑するミラーでしたが、少女が帰った後、安堵とともに一抹の寂しさを感じます。生活のリズムが戻ってきたある夜、また誰かがドアをノックして……。

『わんぱく時代』

佐藤春夫【著】
10年刊/講談社/ 1,600円+税
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小学生時代のケンカ、初恋、そして戦争に向かっていく社会へのまなざしを描いた物語。

『ボッコちゃん』

星新一【著】
71年刊/新潮社/ 550円+税
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大人の男女の世界を比較的淡泊に、そして多少の皮肉を込めて描いたショートショート。

『清少納言─『枕草子』をかいた女性随筆家』


西本鶏介【著】、朧谷寿【監修】、山中桃子【絵】
12年刊/ミネルヴァ書房/ 2,500円+税
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平安時代を代表する
女性の一生

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