左:『有次と庖丁』江弘毅【著】/ 14年3月刊/新潮社/ 1,600円+税 Amazonで購入
右:『おいしい文藝 ぷくぷく、お肉』赤瀬川原平、阿川佐和子、阿川弘之、池波正太郎、伊丹十三、井上荒野、色川武大、内田百閒、内館牧子、開高健、角田光代、川上未映子、神吉拓郎、菊地成孔、邱永漢、久住昌之、佐藤愛子、島田雅彦、東海林さだお、園山俊二、檀一雄、馳星周、平松洋子、古川緑波、町田康、三宅艶子、向田邦子、村上春樹、山田太一、吉田健一、吉本隆明、四方田犬彦【著】/ 14年2月刊/河出書房新社/ 1,600円+税 Amazonで購入

和食がユネスコ無形文化遺産に登録されました。日本の食文化について、子どもたちにもきちんと伝えられたらいいですね。奥深く豊かな和食の世界を知るきっかけとして、こんな本はいかがでしょう。江弘毅の『有次と庖丁』。京都の老舗?有次?の歴史と、その庖丁の使われ方を丹念に取材したノンフィクションです。まず驚くのは?有次?に置かれた庖丁の種類の多さ。左利き用、骨切庖丁、フグ引き庖丁、栗剥き庖丁など、なんと400種以上もあるのだそうです。そこまで細分化するのは無駄な気がしますが、多様性が和食の肝なのだということが読み進めていくうちにわかります。

たとえばミシュランの掲載を拒否した名店の主人は〈京都の店には各店の個性ちゅうもんがぎょうさんあるから放っといたれ。みんな流れ星でいいんや〉と語ったそうです。主婦からプロの料理人まで、流れ星たちのニーズに合わせて?有次?は庖丁を用意します。素材や切れ味においては妥協しないけれど、客がほしいといえば料理用じゃない庖丁もつくる柔軟性も持っているから、大量生産の刃物が主流の現在も生き残っているのです。切れなくなれば捨てられる西洋の庖丁と、手入れしながら長く使う日本の庖丁の比較もおもしろい。読み終わると、家の庖丁を研ぎたくなるにちがいありません。

和食と言えば魚や豆腐を思い浮かべる人が多いでしょうが、明治以降に入ってきた肉食文化も独自の発展を遂げています。中でもすき焼きは、日本らしい肉料理ではないでしょうか。『ぷくぷく、お肉』は、「肉」にまつわる名随筆集。最初に5編のすき焼きエッセイが収められています。

伯父が来るたびに食べた甘いすき焼きを回想する阿川佐和子、ステンレス鍋でズボラにつくったすき焼きを何日も食べ続ける開高健、牛鍋がすき焼きになるまでの過程を語る古川緑波、夏を舞台にした作品にどうしてもすき焼きを出したかった山田太一、すき焼きの糸こんにゃくと焼き豆腐と葱が好きだという村上春樹。同じメニューなのに、人によって味わい方が全然違うところが愉しい。牛肉だけではなく、豚、鶏からマンモスまで、さまざまな肉が登場。肉を食べると幸福感をもたらす脳内物質が分泌されるそうですが、おいしそうな描写を読んでいるだけで幸せな気持ちになりました。




『サクラ咲く』
辻村深月【著】
14年3月刊/光文社/ 560円+税
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自己主張が苦手な中学一年生・マチは、図書館の本を介して顔が見えない相手と手紙をかわす。自分と同じ息苦しさを感じていて、本の趣味も合う相手は誰なのか? 優しい結末に胸が熱くなる表題作ほか2編を収録。





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