探偵気分で推理小説に触れるのも、読書の楽しみ方の一つ。今月は主人公と一緒に話の中の事件を解決しながら、本の世界を楽しんでいきましょう。 

元警察犬で、今は蓮見探偵事務所で番犬をしているマサが、大好きな加代ちゃんと一緒に、さまざまな事件を解決します。『きえた犬のえ』はシリーズ本の1作目。友だちのアニーがなくしてしまった黄色い犬の絵を探そうと、主人公のネートが推理を重ねます。『もしかしたら名探偵』もシリーズ本の1作目で、3編収録されています。それぞれ事件編、解決編に分かれているので、順を追って読むことで謎解きの楽しさを実感できるのではないかと思います。

高学年向けには『ぼくらの先生!』を。定年退職した元教師である夫が、学校で起きた不思議な事件を思い出として妻に話します。その中に潜む子どもたちにまつわる謎を妻が見事に解き明かすというお話です。『そして誰もいなくなった』は孤島、そしてマザーグースの童謡が犯罪の下敷きになっており、推理小説の古典にふさわしい舞台設定。童謡の節にのせて、一人ずついなくなっていくという恐ろしい雰囲気はありますが、きちんと謎解きはされていきます。『エリザベス女王のお針子 裏切りの麗しきマント』は、今回のイチオシ作。エリザベス女王の時代のお話で、お針子として雇われていた女の子の視点を通し、王族同士の争いが暴か探偵気分で推理小説に触れるのも、読書の楽しみ方の一つ。今月は主人公と一緒に話の中の事件を解決しながら、本の世界を楽しんでいきましょう。 れます。歴史的事実が下敷きになっているので、大人が読んでもおもしろいですよ。

ほかに、2013年度アガサ賞最優秀ヤングアダルト賞を受賞した『暗号クラブ2 ゆうれい灯台ツアー』(ペニー・ワーナー著/メディアファクトリー)、超能力者気分が味わえる『ねらわれた街│テレパシー少女「蘭」事件ノート〈1〉』(あさのあつこ著/講談社)もおすすめです。

子どもたちにはさまざまな文体に触れてほしいので、基本的にシリーズものはおすすめしません。ただ、ミステリーに関しては例外かもしれませんね。僕自身、アガサ・クリスティー作品に登場する探偵ポアロとマープルの視点から人間観察をして楽しんでいましたから。そのように登場人物の立場に立ち論理的思考の型をつくると、また違った感覚で推理小説が楽しめますよ。

『マサの留守番 蓮見探偵事務所事件簿』

宮部みゆき【著】、千野えなが【絵】
08年刊/講談社/ 670円+税
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主人公と犬の視点から
謎解きを楽しもう

蓮見探偵事務所の番犬のマサ。彼は大好きな加代ちゃんとともに、さまざまな謎に挑みます。読み手である子どもたちは加代ちゃんと自分を同化しながら、子どもと犬という二つの視点から、同時に事件を解決していくという新鮮さも楽しめるお話です。

『きえた犬のえ(ぼくはめいたんてい1)』

マージョリー・W・シャーマット【著】、
マーク・シマント【絵】、光吉夏弥【訳】
82年刊/大日本図書/ 1200円+税
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大人が見過ごしがちな物事の関係に注目したわ
かりやすい謎解き物語。推理を楽しむ入門書に。

『もしかしたら名探偵』

杉山亮【著】、中川大輔【絵】
92年刊/偕成社/ 1000円+税
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収録された3編がそれぞれ事件編、解決編に分か
れており、推理する楽しさを実体験できます。

『ぼくらの先生!』

はやみねかおる【著】
08年刊/講談社/ 1300円+税
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先生の思い出話から
どう謎を解く?

定年退職した教師が妻に思い出を語ることで、ある謎を解いていきます。小学校を舞台に、先生と子どもたちのきらめく夏をとじこめたミステリー短編集。収録された5作は、どれもほっこりできる読後感です。

『そして誰もいなくなった
クリスティー・ジュニア・ミステリ1』

アガサ・クリスティー【著】
水戸部功【絵】、青木久恵【訳】
07年刊/早川書房/ 1,500円+税
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オーエンと名乗る人物から招待状が届き、孤島に
集まった10人が1人ずつ消えていき……。

『エリザベス女王のお針子
裏切りの麗しきマント』

ケイト・ペニントン【著】、柳井薫【訳】
11年刊/徳間書店/ 1600円+税
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女王暗殺の陰謀を暴こうと奔走するお針子・メアリー。エリザベス朝が舞台のスリリングな物語。

『空海 真言宗をひろめた名僧』

永原慶二【監修】、木村茂光【編】、
荘司としお【絵】
89年刊/集英社/ 780円+税
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仏教の分野だけではなく
土木や教育でも活躍

唐で学んだ真言密教を日本に伝えた空海は、実は教育や土木の分野でも活躍した人物。空海の数々の偉業は国際交流の典型的な形としても読み取れる。

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