左:『英子の森』松田青子【著】/ 14年2月刊/河出書房新社/ 1,500円+税 Amazonで購入
右:『もっとにぎやかな外国語の世界』黒田龍之助【著】/ 14年2月刊/白水社/ 950円+税 Amazonで購入

子どもの頃「これからは英語の時代だから」と親に言われて何年も英会話教室に通っていましたが、40歳になった現在、ほとんどしゃべれません。英語ができる人はすごいというイメージがあるので、松田青子の『英子の森』を読んだときは衝撃を受けました。がんばって勉強しても、英語の仕事に就くという夢をかなえられない人たちがいる世界に光をあてた小説。

主人公の高崎英子は、翻訳家を目指して専門学校に通いながら、英語の仕事をメインに紹介する契約会社に登録しています。ところが、会社から届く求人情報は、語学力など必要としない単純労働ばかり。英語を使う仕事と英語を使わない仕事で、時給の差は50円しかありません。〈英語はわたしを違う世界に連れて行ってくれる魔法〉だと信じていたのに……。TOEICのスコアが900点を突破した記念にシャンデリアを買う斉藤さんや〈グローバル〉が口癖の大村など、英子の周りの人も、英語の魔法に幻惑され、不安定な生活をしているのです。

松田さん自身の体験をもとに閉塞感に満ちた状況がリアルに描かれていますが、英子が住んでいるのは西洋のおとぎ話に出てくるような美しい「森」というところがユニーク。何者かになりたい人の幻想でつくられた「森」は、住人が絶望すると枯れてしまいます。英子は自分の「森」を守れるのか? 努力しても報われるとはかぎらない現実と向き合いながら、ただの「英語業界残酷物語」では終わらない。前向きで爽快なラストになっています。

外国語は魔法ではないけれど、春になると書店の店先にNHKの語学講座のテキストが並んでいるのを見たりして、未知の言葉を学びたくなるという人も多いのではないでしょうか。黒田龍之助の『もっとにぎやかな外国語の世界』は自分に合った言語を見つけるきっかけになる1冊。6つの動詞を切り口にして、いろんな国の言葉を紹介していきます。たとえば「なづける」は、自分の名前で苦労した話から始まって、世界の親がどんな風に子どもの名前をつけているか例を挙げていく。モンゴルには〈名無し〉とか〈わたしじゃない〉という意味の名前があるというエピソードには驚きました。留学経験がないのに複数の語学を習得した著者が、やわらかい語り口で語学の楽しさを教えてくれます。



『デリリウム17』
ローレン・オリヴァー【著】 三辺律子【訳】
14年2月刊/新潮社/890円+税
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愛が病気とみなされ、恋愛が禁じられている近未来のアメリカ。病への感染を防ぐ手術を間近に控えたレナは、すでに治療を受けたアレックスに恋をしてしまう。オバマ大統領が娘に贈ったベストセラーSF青春小説。




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