第50回
脳を鍛える勉強法って?

オリンピックと脳科学の意外な関係

日本中が盛り上がった、ソチオリンピック2014。競技によっては放映が深夜帯のものもあり、眠い目をこすりながら日本人選手に声援を送った人も多いでしょう。

実は私は、これまで多くのオリンピック選手に、勝負に勝つためのアドバイスを行っています。脳科学とオリンピックーー。ちょっと意外な組み合わせと思われるかもしれませんね。

アドバイスした一人である競泳の北島康介選手が、北京オリンピックで金メダルを取った頃から、私の提唱する「勝負脳」が注目されるようになりました。ロンドン五輪でも、女子サッカー日本代表チームや競泳チーム、女子卓球選手などが、このメソッドを参考にしています。結果的に、女子サッカーチームと卓球女子団体で銀メダル、競泳チームは銀、銅合わせて11個のメダル獲得となったのは、本当にうれしい思い出です。

この「勝負脳」というメソッドは、教育の分野にも応用可能で、脳を鍛え、能力を底上げすることができます。今回は、勝負脳メソッドを応用した「脳を鍛える勉強法」をお教えしましょう。

ハードワークの後でさらに脳に負荷をかける

スポーツの世界では、予選会を勝ち抜いたら、一度ペースダウンして体調を整え、再び本番に向けて徐々に調子を上げていくという調整法が習慣となっているように思います。しかしこれは、あまり正しいやり方とは言えません。

なぜなら脳科学的に見ると、人間の能力とは、ピークにあるときにこそさらに伸ばしていけるものだからです。ピークを越えるよう高い集中力で努力し続けることで、さらなる能力が引き出されます。脳の仕組みを考えるなら、最高のコンディションであったり、いい記録が出たときこそ、そのまま集中力を切らさず、さらなる高みを目指して鍛えていくべきときなのです。

勉強に置き換えて考えるなら、脳が疲れているときこそ、実は脳を鍛えるチャンスであると言えます。

たとえば、通常なら1時間かかる宿題があり、集中力が高いときには、それを30分で済ますことができるとします。

ここでもし宿題を終わらすことが目標であれば、「集中して30分で終わらせて残りの時間はのんびりしよう」となるでしょう。しかし脳を鍛えることが目標ならば、「集中すれば1時間の間に2倍の宿題がこなせる」という発想になります。

通常の2倍のスピードで宿題を終えたところに、さらにまた同程度の宿題という負荷をかける。ハードワークの後でも脳を休ませず、さらにもうひと押しすることで、はじめて脳が鍛えられるのです。こうして高い目標を課し続けていると、次第に脳がその負荷に慣れ、許容量が増えていきます。そして結果的に、受験を終える頃には、脳の働きが良くなるというわけです。

コツとしては、「今日は問題集をここまでやる」というより、「2時間は集中し続けて必死でやる」と時間で区切る勉強法を、一部に取り入れるといいかもしれませんね。

勝ち方にこだわりぶっちぎり合格を目指す

脳を鍛える勉強法の最終目標は、「ぶっちぎりで勝つこと」です。中学受験でいうなら、志望校にぶっちぎりで合格するということになるでしょう。

「合格点を取る」ということを目標にしているうちは、脳の本当の力を引き出すことは難しいものです。

塾のテストでは、志望校に対する合格可能性が明示されますが、たとえ合格可能性が80%以上だったとしても、そこで満足してはいけません。何があろうとも絶対合格する点数にどこまで近づけるか、どうやったらトップ合格できるかということを考え、勝ち方にこだわることが大切です。

入試に出るかどうかはさておき、「目の前の問題を完璧に理解してやろう」「難問だけど納得できるまで何度でも考えてやろう」ーー。こういった姿勢で日々取り組み、疲れても妥協せず考え抜くことで、脳の力はその時点の限界を突破し、飛躍していきます。また、こうしてものを深く考える習慣がつくことは、人生においてとても有益な財産となります。

林 成之
1939年富山県生まれ。日本大学医学部卒。マイアミ大学の脳神経外科などに留学し、93年に日本大学医学部付属板橋病院救命救急センター部長に。2006年に日本大学の教授へ就任。 脳低温療法など世界的な発見で知られる脳科学の第一人者。『困難に打ち克つ脳とこころの法則』(祥伝社)など著書多数。

取材・文/國天俊治 写真/石井和広 イラスト/岸潤一

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