ICとは電子機器に使われる部品のひとつで、スマートフォン、テレビ、カメラなど、ありとあらゆる機械に組み込まれています。

「私たちの身の回りにある電化製品が、ボタンやスイッチ、タッチパネルなどで操作できるのはICがあるおかげです。たとえば、テレビはICがキャッチした電波を動画にして画面上に映し出しています。また、リモコンでチャンネルが変えられるのも、ICの働きによるものです」

ICは、機械を動かすためのデータが詰まったトランジスタという部品と、それをつなぐ金属の配線で構成。

「1個のICは約1センチメートル四方のチップに集約されますが、その中に約1000億個のトランジスタが入っており、トランジスタをつなぐ配線の長さは10キロメートル以上にも及びます」

ICの内部はナノメートル(10億分の1メートル)の世界。人類が初めてトランジスタの開発を成功させたのは1950年頃でした。

「最初は、ラジオをつくろうとしたのがきっかけだったようです。その後、試行錯誤が繰り返され、約60年の間で約1000億個のトランジスタを組み込むレベルにまで到達しましたが、まだまだ成長は止まりません。2030年には、100兆個のトランジスタから成るICが誕生する可能性があります。IC内のトランジスタの数が増えるほど、情報処理のスピードが速い機械をつくることができます」

近年はICを小さくし、価格を安くすることも重要な研究テーマです。

「50年前のコンピュータは、部屋に収まらないほど大きい機械でした。しかし、現在はそれよりも遥かに小さく高性能なスマートフォンが普及しています。これは、ICが小型化したからこそ成し得たのです」

多くの人が活用しているスマートフォンの形も、今後、さらなる改良が加えられる可能性があります。

黒田研究室では、ICが秘める可能性をさらに広げるために、さまざまな研究に取り組んでいます。

「人間の体内にICチップを埋め込んで病気を発見する、電力消費量の少ないICを開発して電柱や建物の柱に埋め込み、都市に無線LANを張り巡らすなどの研究にも着手しています。学生たちも自らICの設計図をパソコン上で作成し、工場に発注するなどの作業を通して理解を深めています」

さらに、学生たちが世界を舞台に活動しているのも、黒田研究室の大きな特徴です。

「最新の半導体技術に関する発表が行われるISSCC(国際固体素子回路会議)で、私たちの研究が世界第5位に選ばれました。それがきっかけで海外の企業から注目されるようになり、アメリカのIT企業インテルに招待されたことも。同社の経営陣の前で学生が発表を行ったのですが、その内容のすばらしさにインテルの社員たちも驚いていました」

「この取り組みに参加しているのは将来、中国・韓国の政府や企業のトップに立つことが期待されている人たちです。彼らと私の研究室の学生が深く語り合うことで、民間レベルで良好な関係を築くきっかけになればと考えています」

IC分野は過去50年ほどで飛躍的な進歩を遂げましたが、黒田先生は「進歩のスピードはさらに加速する」と熱く語ります。

「これから爆発的な革新が見込まれ、その用途はお手伝いロボットや機械による無人の宅配便システム、事故を起こさない自動車の誕生など、無限大です。今後は、ICを何に活用するかも重要な研究テーマになります。学生にはICを駆使して、明るい未来を実現させてほしいと思います」



慶應義塾大学 理工学部電子工学科
黒田忠広研究室
黒田 忠広教授
黒田 忠広 教授

東京大学工学部卒業後、大手電機メーカーに入社。IC関連製品の開発に従事し、アメリカ留学などを経て2000年から慶應義塾大学へ。

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