左:『世界は球の如し』熊田忠雄【著】/ 13年9月刊/新潮社 / 1,680円 Amazonで購入
右:『ニッポン定番メニュー事始め』澁川祐子【著】/ 13年9月刊/彩流社/ 1,575円 Amazonで購入

初恋、初雪、初夢。「初」という言葉には、大人も子どももワクワクさせる響きがあります。今回は「日本初」をキーワードにした新刊二冊をご紹介しましょう。まずは熊田忠雄の『世界は球の如し』。今のように交通網が発達していない時代に、世界一周を成し遂げた人々の旅の軌跡を、ダイジェストで紹介した一冊です。自分たちの意思ではなく天候の急変によって異国へたどり着いた江戸時代の漂流民、幕末から明治にかけて国から派遣された使節団、日本初の世界一周パック旅行の参加者、さまざまな人が登場します。

中でもユニークなのが個人で初めて世界旅行に挑戦した愛知県の帽子屋、中村直吉。6年の歳月を費やし、5つの大陸すべてに足を踏み入れました。しかもほとんどの行程を無銭旅行で!商売は放ったらかしで旅に夢中になっている、家族にとっては困った人だったでしょうが、一面識もないコスタリカの陸軍大臣に馬を無心して提供してもらうなど、どこか抗えない魅力があったに違いありません。

直吉が世界を巡った明治は、異国の文化が日本にどんどん入ってきた時代でもあります。たとえばカレーは日本初の「あんかけご飯」だったという話が書かれているのが、澁川祐子の『ニッポン定番メニュー事始め』。餃子、牛丼、とんかつ、クリームシチュー、焼きそばといった、おなじみの人気メニューのルーツを探っていきます。

澁川さんは「元祖」の看板や定説を鵜呑みにしません。文献を丁寧に読み解いて、どこまでわかっているかを明確にしているところが誠実。だらだらと薀蓄を語ることなく、無駄のないすっきりとした文章で、楽しく読み進めることができます。

驚いたのは、コロッケとテリヤキバーガーの起源。コロッケはフランスの「クロケット」が由来で、日本ではホワイトソースをじゃがいもで代用したという定説を信じていました。テリヤキバーガーは、ハンバーガーを日本人に受け入れられるように和風にしたのだろうと思い込んでいました。でも実際は……。食文化が発展していく過程の複雑さを感じます。料理をつくった人のさまざまな創意工夫が込められているからこそ複雑になり、豊かになっていくんだということも。表紙のとろとろオムライスも美味しそう! 読むとお腹が空く一冊です。




『円卓』
西加奈子【著】
13年10月刊/文藝春秋/ 494円
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「こっこ」こと渦原琴子は小学3年生。聡明で孤独を好み、口が悪い。眼帯をつけた同級生の香田めぐみさんに憧れるが……。子どもの目で見た世界を美化せず鮮やかに描いた小説。2014年に芦田愛菜主演で映画化。




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