今月は哲学について正面から取り組んでみましょう。たとえば「考えるってどういうこと?」「自分ってなんだろう?」などの素朴な疑問は、大人だけのものではないでしょう。哲学というと、敷居が高く感じてしまうかもしれませんが、自分の考えを整理したり、物事を客観的に見るための鏡にもなります。今回はそのヒントとなるような本を紹介します。

低学年向けには『ぼくだけのこと』。「ぼくは右にえくぼができる」など、自身に向き合う中で、自分とは何かを考えるヒントが詰まっています。『質問絵本』は、「きれいってどういうこと?」などの質問があり、自由に意見を言いながら、物事を考える出発点になる本です。『じぶんだけの いろ』は、カメレオンが自分のアイデンティティのなさに気づき、「ぼくって本当は何色?」と考えるお話。また、R・ウィルバーの『番ねずみのヤカちゃん』もおすすめしたい一冊。声が大きいなど、ねずみとしてふさわしくない性質を持つヤカちゃんを通し、欠点と長所は紙一重であることを伝えてくれます。

高学年向けには『ちいさなちいさな王様』。これは歳をとるに従って小さくなるなど、私たちとは逆の価値観を持つ世界の王様が「ぼく」の前に人差し指ほどの大きさで現れ、さまざまなことを語り合うという、哲学的趣向に富んだお話です。『よいことと わるいことってなに?』は、「なんで物を盗んではいけないの?」などの質問があり、明確な答えはないものの、考え方の方向性は示しているという良書です。『翔太と猫のインサイトの夏休み』は、男の子と猫の対話形式になっていて、自分が生きている世界を今一度見直すためのさまざまな仕掛けがあり、楽しく読み進められます。ほかには、内山節『哲学の冒険』を。父と息子の対話から、哲学の歴史を旅して理解していくという内容で、ぜひ高学年の子どもたちに挑戦してもらいたい本です。

子どもたちが考えごとをしているとき、親に質問することもあると思いますが、そのときはなるべく答えず、「どういうことなんだろうね?」「わかったら教えて」などと声をかけてもらえたらと思います。こうしたやり取りを通じて、子どもたちは自分の内面の殻から脱皮していきます。彼らの気持ちや考え方の動きを、静かに見守ってあげてください。
(私立麻布中学・高校国語科教諭(現代文)中島 克治先生)

『ぼくだけのこと』

森絵都【著】
13年刊/偕成社/ 1,470円
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子どもたちが自分自身と
肯定的に向き合える本

かわいらしい絵とともに、本の中に描かれている“ぼくだけに特有のこと”を考えていくうちに、読み手である子どもたちも自分自身と肯定的に向き合えるようになっていきます。子どもだった頃を思い出しながら、大人にも楽しんでもらいたい本です。

『質問絵本』

五味太郎【著】
10年刊/ブロンズ新社/ 1,470円
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色鮮やかな挿絵を見ながら、子どもたちが自由に意見し合い、互いを認め合うことができる絵本。

『じぶんだけの いろ』

レオ・レオニ【著】谷川俊太郎【訳】
78年刊/好学社/ 1,121円
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変幻自在のカメレオンが本当の自分の色を探したら……。自分の在り方を探すきっかけに。

『ちいさなちいさな王様』

アクセル・ハッケ【著】那須田淳・木本栄【訳】
96年刊/講談社/ 1,365円
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私たちの知る常識とは
本当の常識なのだろうか?

歳をとると段々小さくなり、最後には消えてしまうなど、私たちと は逆の価値観を持つ世界。その国の王様が人差し指ほどの姿で目 の前に現れ、“ぼく”と対話します。そのうちに、“ぼく”は自分にと っての常識は絶対ではないかもしれないと思い始め……。

『よいことと わるいことって、なに?』

オスカー・ブルニフィエ【著】重松清【監修】】
西宮かおり【訳】
06年刊/朝日出版社/ 1,470円
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質問に対する考え方を提示して問いかけ、客観的立場から子どもたちの思いを引き出します。

『翔太と猫のインサイトの夏休み』

永井均【著】
07年刊/筑摩書房/ 924円
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男の子と猫が夢と現実の違いを考えるところか
ら、自分が生きている世界を見直していきます。

『神谷美恵子
ハンセン病と歩んだ命の道程』

大谷美和子【著】
12年刊/くもん出版/ 1,470円
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ルソーに学び、自由を求めた
ある思想家の人生

「生きがい」という言葉を初めて使った 精神科医・神谷美恵子。ハンセン病患者 に寄り添い、彼らの治療を続けた彼女 の人生に触れよう。

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