友だちよりも一歩踏み込んで、互いが力強く支え合える関係。一方で、仲のよかった子とうまくいかなくなったり、年上や年下の人との交流で同志のような感情が芽生えたりしたときにも、意識させられる。今回は子どもたちにとって、より大切な"仲間"をテーマにおすすめの本をセレクトしました。

低学年向けには『ズンデヴィト岬へ』。自転車に乗り急いで岬へ向かう途中、主人公のティムは近所の人たちからさまざまな用事を頼まれます。困りながらも人々の役に立つことで、周囲とのつながりを実感していくお話です。『すてねこタイガーと家出犬スポット』には、子猫と犬の間に芽生えた、友だちでも親子でもない、仲間としての愛情が描かれています。『わたしのひよこ』は、小学生のひな子がひよこをある種の仲間に見立て、クラスの友だちとうまくいかない苦しい時期を乗り切っていく物語です。小学生が、仲間というテーマで書いた詩を集めた『だって仲間だろ│埼玉児童詩集〈5〉』(群青社)も、同年代の子どもたちにはダイレクトに響くと思います。

高学年向けは、まず『六号病室のなかまたち』を。弟をイスラエル兵に殺されたパレスチナ人のサミール。この少年が膝を手術するためイスラエルの病院に入院するのですが、そこで出会った子どもたちとの関わりを描いています。『宮沢賢治童話全集新版〈10〉ポラーノの広場』は、理想郷とされるポラーノ広場を探すために集まった若者たちのさまざまな触れ合いを描いた物語。『仲間はずれになった日』では、仲よし4人組から外れてしまったチサトが年上のフミさんとの交流でいろいろなことを学んでいきます。6人のラグビー選手の伝記物語『仲間を信じて―ラグビーが教えてくれたもの』(岩波書店/村上晃一著)では、単なるチームメイトではない、仲間としてのやり取りを感じてもらえるはず。

夏休みという期間を挟むと、子ども同士の人間関係は、さらに絆が深まる場合もあれば、疎遠になるなど、大きく変わることがあります。もし仲間とうまくいかない時期があっても、それは子どもの心を成長させるチャンスでもあります。親は心穏やかではないと思いますが、そんなときは、家族との会話や家での楽しみを増やすなどして、遠くから見守るというスタンスで接してあげてもらえたらと思います。
(私立麻布中学・高校国語科教諭(現代文)中島 克治先生)

『ズンデヴィト岬へ』

ベンノー・プルードラ【著】、森川弘子【訳】
04年刊/未知谷/1,680円
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周囲の人との関わりから
少年が学び得たこと

ドイツでは知らない人はいないといわれている物語。主人公の男の子は8歳。周囲の人たちに次々と頼まれ、途方に暮れてしまいます。そこからまたひと波乱あって……。これから育っていく子どもたちにぜひ読んでもらいたい一冊です。

『すてねこタイガーと家出犬スポット』

リブ・フローデ【著】、木村由利子【訳】
03年刊/文研出版/1,365円
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子猫と大型犬、動物としての種は違うけれど仲間になれるということが強く伝わってきます。

『わたしのひよこ』

礒みゆき【著】13年刊/ポプラ社/1,050円
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仲間とうまくいかない時期をひよこと一緒に乗り切っていく。低学年に伝えたいお話です。

『六号病室のなかまたち』

ダニエラ・カルミ【著】、樋口範子【訳】
01年刊/さ・え・ら書房/1,365円
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敵国同士の子どもたちは
病室でどう交流するのか

パレスチナ人の男の子・サミールは膝の手術のために、敵対するイスラエルの病院へ入院。そこで出会った子どもたちとの交流を描いたお話です。子どもの視点から見た戦争というものもリアルに描かれており、高学年にはぜひ読んでほしい物語です。

『宮沢賢治童話全集新版〈10〉ポラーノの広場』

宮沢賢治【著】
79年刊/岩崎書店/1,470円
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理想郷とされるポラーノの広場を探す若者たち。でも、その広場は意外な場所にありました。

『仲間はずれになった日』

高井節子【著】
95年刊/そうえん社/1,223円
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仲間からはずされたチサトは、年上のフミさんと知り合うことで世界を広げていきます。

『TN君の伝記』

なだいなだ【著】、司修【絵】
02年刊/福音館書店/840円
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ルソーに学び、自由を求めた
ある思想家の人生

自由民権運動に大きな影響を与えた思想家の人生を描きながら、明治という時代にも切り込んだ伝記文学。この人物の正体は、読んでからのお楽しみ。

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