左:『狭小邸宅』 新庄耕【著】/ 13年2月刊/集英社/ 1,260円 Amazonで購入
右:『スナックさいばら おんなのけものみち 七転び八転び編』 西原理恵子【著】/ 13年1月刊/角川書店/ 840円 Amazonで購入

学校における人間関係、受験、就職など、子どもが置かれている状況は過酷。でも、親が直面している現実もかなりたいへんです。今月はサバイバルしているお父さんお母さんにおすすめの新刊を紹介します。

まず新庄耕のすばる文学賞受賞作『狭小邸宅』。名門大学を出て、戸建を販売する不動産会社の営業マンになった「僕」の日常を描きます。成績を上げられない社員は、毎日サンドイッチマン姿で街角に立ち、電話営業のときはひるまないように受話器と手をガムテープで巻きつけ、物件を案内した客には店舗に寄ってくれるよう懇願する。体力と気力を限界まですり減らす職場の描写がリアル。

残業しても休日を返上しても一軒も家を売ることができなかった「僕」が、ある物件をきっかけに家を売るコツをつかむ過程はスリリングで、ページをめくる指が止まりません。何より驚いたのは、著者が不動産業界の出身ではないということ。自分の知らない世界をこれだけ生々しく切り取る力があれば、デビューした新人の多くが消えてしまう出版業界でも生き残っていけるのではないでしょうか。


職場だけでなく、家庭にも闘いはあります。『スナックさいばら おんなのけものみち』は、恋愛、結婚、出産、ダイエットなどをテーマに、スナックのママに扮した西原理恵子と女性読者が本音で語り合う一冊。地に足をつけて生きている人たちの言葉が光っています。たとえば「結婚する男の最低条件はなんですか?」というお題。経済的な問題に触れる人が多い中で、〈排水口(台所・風呂場・洗面所)の掃除をしたことがある人〉〈放っておくと、どれだけ排水口が汚れるか知っている、そしてそれを自分で洗える。これ大事〉という回答に深く頷いてしまいました。

〈男も女もお互いが癒してくれるリラックマを求めてる〉〈太った理由は女の履歴書〉〈かあさんたちは、人生の受け身が上手〉など、西原ママの名言も味わい深い。漫画家として第一線で働きながら子どもを育て、離婚した夫を家に呼び戻して看取った。いつも格闘して生きてきたからこそ、同じようにがんばっている女性に対する愛があるのです。読んでいるうちに「けものみち」を歩いているのは自分だけじゃないと勇気づけられます。



『まる文庫』
有限会社養老研究所【著】
関由香【写真】
13年2月刊/講談社/ 880円

養老孟司さんの飼い猫「まる」の写真集。好物はマヨネーズで、特技はどすこい座り。まるが可愛らしいのはもちろん、巻末に収録された養老さんのエッセイが素敵。心が疲れたときにめくってほしい1冊です。




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