第24回

『移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活』

高野秀行【著】
12年11月刊/講談社/ 1,680円
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『女ノマド、一人砂漠に生きる』

常見藤代【著】
12年12月刊/集英社/ 798円
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家族と離れ、ラクダと砂漠で暮らす遊牧民の老女。結婚するまで互いの顔をほとんど見ない恋愛事情、一夫多妻制の実態など、イスラム社会で生きる女性たちの姿を紹介する。

『ぼくは猟師になった』

千松信也【著】
12年11月刊/新潮社/ 830円
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京都に住む猟師の著者が、自身の山での猟師生活1年間を綴るエッセイ。「自分が食べる物は自分で調達する」-----。現代の食生活を見つめ直すきっかけにしてみては?


皆さんが小さい頃は、まだ日本に住んでいる外国人は珍しかったと思いますが、今は207万人もの方がいるのだそうです。子どもたちは、自分と違う背景を持つ人々と共存していかなければなりません。まずは大人から異文化に対する理解を深めたいですね。高野秀行の『移民の宴』は、日本に移り住んだ外国人のリアルな食生活に迫るルポ。普段は秘境を旅している高野さんが、タイ、イラン、フランスなど、世界各地からやってきた人と一緒に食事をして、さまざまな話を聞きます。 

驚くのは、国籍が同じでも単純にひとくくりにはできないということです。たとえば、日系ブラジル人の中でも沖縄系の人たちは横浜市鶴見区に集まり、ほとんどがバイリンガル。けれども、非沖縄系の人たちは大きな工場がある町に散らばり、あまり日本語が話せない。ほかの在日外国人たちも、ルーツも生活水準も考え方もバラバラです。人々の長距離移動が容易になった現在、国で分けること自体、あまり意味がないのかもしれません。 

非常時で頼りになるのは、国家ではなくコミュニティだということもよくわかります。第3章の「震災下の在日外国人」。高野さんは震災直後に在日外国人の状況をリサーチしたとき、いち早く炊きだしを始めていたのがムスリム(イスラム教徒)であることを知ります。結びつきが強い共同体には情報が入ってくるし、仲間同士で協力もしやすい。次の第4章「南三陸のフィリピン女性」は、本書で一番読んでいただきたいところ。自分も被災者なのに、避難所でボランティアをする。長い年月をかけて地元に溶け込んだフィリピン女性の、明るくたくましい姿が心に残ります。出身がどこであれ、今いる場所と近くにいる人を愛することから希望は生まれるのでしょう。 

常見藤代の『女ノマド、一人砂漠を行く』は、エジプトの遊牧民に密着取材したノンフィクションです。家族と離れて砂漠で暮らす遊牧民の老女と、日本の写真作家。共通点がない2人の距離を食べ物が近づけます。外国人同様、日本人もひとくくりにできないことがわかるのが、千松信也の『ぼくは猟師になった』。獣医志望の少年が京都大学文学部に入り、海外を放浪して、なぜか猟師になる。ワナを仕掛けてとらえた獲物を自らさばいて食べる。狩猟生活のディテールが新鮮です。

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