第22回

『「弱くても勝てます」
開成高校野球部のセオリー』

髙橋秀実【著】
12年9月刊/新潮社/ 1,365円
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『その科学が成功を決める』

リチャード・ワイズマン【著】、
木村博江【訳】
12年9月刊/文藝春秋/ 730円
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「ポジティブシンキング」「ほめる教育」といった、自己啓発の世界では当たり前とされる考え方を科学的に検証。数々の実験から導き出される衝撃の結果とは?

『独立国家のつくりかた』

坂口恭平【著】
12年5月刊/講談社/ 798円
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東日本大震災後、たった1人、0円で熊本に自ら「新政府」をつくった「初代内閣総理大臣」が提案する、まったく新しい生き方。既存の思考法、常識を覆す新感覚の1冊だ。


開成高校といえば、毎年200人近くが東京大学に合格する、日本一の進学校。スポーツが強いイメージはありませんが、髙橋秀実の『弱くても勝てます』によれば、平成17年、同校の硬式野球部は、都大会でベスト16まで勝ち進んだのだそうです。〈なんで開成が?〉と驚いた髙橋さんは取材を申し込み、躍進の秘密を解き明かそうとします。まず読み物としてとてもおもしろく、どうしたら逆境を乗り越えられるのか親子で考えるきっかけにもなるノンフィクションです。

学校にグラウンドがひとつしかないので、練習できるのは週1回、3時間程度。〈エラーは開成の伝統〉というくらい守備は下手で、逆上がりすらできない部員もいる。〈我々のようなチームの場合、ギャンブルを仕掛けなければ勝つ確率は0%なんです〉と言う青木監督は、バッティングを集中的に鍛えます。打順も一番から強打者を持ってきて、一気に大量得点を取って逃げきる打線をつくろうとするのです。ピッチャーは安定的にストライクが投げられればいい、守備は試合が成り立つ程度にできればいい、打撃は球に合わせないなど、青木監督のユニークな方法論に魅了されます。

そんな監督に対する選手たちはみんなのんびりしていて、たとえばなぜ外野を守っているのか訊かれると〈外野は涼しいんです〉と答えたりする。監督を含め全員が理屈から入るタイプなのに、自由な雰囲気がある。風変わりなチームですが、勝ち方も負け方も大胆で楽しく、読んでいくうちに応援したくなります。〈希望は知性から生まれる〉という髙橋さんの言葉も印象に残りました。もちろん甲子園を目指すには困難がたくさんありますが、開成高校野球部は、知性によって弱いチームは勝てないという常識を覆すことができたのです。

リチャード・ワイズマンの『その科学が成功を決める』は、科学的な検証によって自己啓発法の常識を覆す本。たとえば、マイナス思考を抑制しようとすると逆効果であるということを、実験をもとに証明。「ほめる教育」を成功させる秘訣も紹介されています。 

常識どころか国という概念さえもひっくり返してしまうのが、坂口恭平の『独立国家のつくりかた』。ちょっとした発想の転換で、世界の見え方は一変するということがわかります。

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