第19回

『俳句いきなり入門』

千野帽子【著】
12年7月刊/NHK出版/ 819円
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『短歌の友人』

穂村弘【著】
11年2月刊/河出書房新社/ 725円
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エッセイや絵本翻訳でも活躍する人気歌人が、初めて綴る歌論集。短歌のおもしろさをわかりやすく、ときに鋭いまなざしで解説する。第19回伊藤整文学賞受賞。

『詩のこころを読む』

茨木のり子【著】
柴田元幸【訳】
79年10月刊/岩波書店/ 903円
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「わたしが一番きれいだったとき」などで知られる、戦後を代表する女性詩人が、数ある現代詩の中から、心を豊かにする選りすぐりの作品を紹介。詩の入門書として最適だ。


親子で遊ぶ知的ゲームとして、俳句はいいんじゃないかと思いました。千野帽子の『俳句いきなり入門』。お笑い番組などをヒントにして、俳句のおもしろさを再発見し、国語の授業で習った古い文学というイメージを覆してくれる刺激的な一冊です。

千野さんはプロの俳人ではありませんが、「東京マッハ」という句会ライヴを企画しています。「東京マッハ」は、プロの俳人から芥川賞作家まで豪華な出演者が、毎回テーマにもとづいて俳句を作り、観客と一緒に点をつけて、句評を発表しあう人気イベント。本文中で内容が一部紹介されていますが、たとえば〈さかづきに金魚といふ名の肉を放つ〉という句ひとつとっても、〈人間ポンプみたいな句なのか〉〈盃に赤い口紅がついたということなのではないか〉とか、作者も全く考えてなかった解釈がたくさんが出てくる。だから、自分で句を作っていない人も楽しめるのです。

千野さんによれば、俳句は自己表現ではなくお笑い番組でいう「モノボケ」のようなもの。つまり一部だけを言って、残りは自分で決めずに観客や読者など、他人の想像に委ねるところに醍醐味がある。そして、いい句は偶然できることがあるけれども、いい読みは偶然では絶対にできないと断言。まずは例としてあげた三十句をもとにした「作らない句会」から始め、次に近代俳人の代表作から選りすぐったアンソロジーを使う「スタンド句会」を提案します。「スタンド」とは大ヒット漫画『ジョジョの奇妙な冒険』に出てくる、超能力をキャラクター化した存在。アンソロジーに収録されている俳人の中から自分の代役(スタンド)をひとり選んで、句会をする。いきなり俳句を自分で作るのはハードルが高いけれど、有名俳人になりきるのは楽しそうだし、コミュニケーション能力も鍛えられるし、語彙も増えるし。やってみない手はありません。

感性だけに頼らない読み方をマスターすると、詩歌の世界はもっと広がる。そういう意味で穂村弘の『短歌の友人』と、茨木のり子の『詩のこころを読む』もオススメです。それぞれの表現形式の特色と、技術的な側面が、すばらしい作例と文章によって解説されます。じっくり読めばきっと「なんとなく好き」から一歩踏み込んだ鑑賞ができるようになるでしょう。

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