一人ひとりの力をかけ算する

東西約2500m、南北約300mにおよぶ広大な戸田公園漕艇場。豊かな水をたたえたこの場所で練習に励むのが、学習院漕艇部の部員たちです。 

高校のボート競技は、1000mのタイムを競い合うもの。スタートからゴールまで、全力でオールを動かし続けることが求められます。「単調とも言えるぐらい同じ動作を繰り返すため、持久力が不可欠です。部員たちは練習を重ねて、強い気持ちを持ち続ける精神力も身につけます」と話すのは、顧問の髙城彰吾先生。 

ボートの競技種目には、漕ぎ手がひとりのシングルスカル、ふたりで組むダブルスカル、漕ぎ手4人と舵手ひとりが力を合わせるクォドルプルの3種類があります。「特に、クォドルプルはチームワークが大切。部員たちは、試合に負けたり、けがをするなどの経験を通して、仲間と力を合わせることの重要性を実感します。そして、各自が出し合う力が足し算でなく、かけ算のようにかみ合い、チームとしての総量が増すのです」(髙城先生)

漕艇部は中等科にはなく、高等科のみのため、中学までの経験値で差が出ません。主将を務める清水誠勝くんは、そこに魅力を感じて入部しました。「僕は、それほどパワーのあるほうではないので、強豪校と肩を並べるためには、練習でカバーするしかありません。練習はハードですが、努力をした分だけ結果に表れるおもしろさが、この競技にはあります。漕艇部の活動を通じて、毎日コツコツと努力することの意味を学べたと思います」

清水くんには、今、心の中で誓っている目標があります。「今年のインターハイの都大会では0.5秒差で敗れ、表彰台を逃してしまいました。ラストスパートをかけたのに、わずかにおよびませんでした。この悔しさを糧にして、次は絶対に勝ちたい。そのために、厳しい練習を乗り越え、日々の目標を達成しながら、その先にある勝利を目指します」

炎天下をものともせずにオールを漕ぐ力強い動きが、部員たちの揺るぎない決意を物語っていました。

戸田公園にある艇庫(ボートハウス)は、OBの協力によって建てられたもの。週に3日は、ここを拠点として練習を行う。学習院大学漕艇部の合宿にも使われている。

「一番の必須アイテムは、“やる気”です!」(清水くん)どんなに苦しい状況になっても、オールを漕ぐ手を休めない気力が、何よりも求められる。

ここ数年、出場を逃しているインターハイに出ることが部員たちの当面の目標。「東京で一番速いクルー(漕ぎ手)を目指すつもりで、練習に打ち込んでいます」(清水くん)

取材・文/堀雅俊 写真/東京フォト工芸(松谷祐増)

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