第15回

『ほんとうのニッポンに出会う旅』

藤本智士/ Re:S【著】
12年3月刊/リトルモア/ 1,575円
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『外人術 大蟻食の生活と意見~欧州指南編~』

佐藤亜紀【著】
09年7月刊/筑摩書房/924円
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日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、エッセイや評論も手がける著者が、自身の留学体験をもとに綴る旅の指南書。海外旅行の常識を覆す、驚きに満ちた一冊だ。

『野蛮な読書』

平松洋子【著】
11年10月刊/集英社/ 1,680円
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食や生活のエッセイの名手が、読書の醍醐味を余すところ無く紹介する。沢村貞子、山田風太郎、佐野洋子、川端康成など、101冊の名作をたっぷり味わおう。


ゴールデンウィーク間近ですね。親子で旅行の計画を立てている人もいることでしょう。今回は「発見のある旅」をテーマに、3冊選んでみました。まずは、藤本智士『ほんとうのニッポンに出会う旅』。〈日本の旅が大好きで、いまだ国外に出たことがない。というか、出ないと決めている〉という著者による旅の記録です。

本書の魅力は、旅先にあるふつうのものを再発見しているところ。たとえば、藤本さんと仲間たちは「日本の美味いもん」について取材することになります。ちょっとした思いつきから行き先を長野に決め、現地の人に話しも聞いて、一番美味しいものを探すのですが、なかなか「これ!」というものが見つかりません。焦燥感をおぼえた彼らにとって突破口となるのは、信州ではよく見られるという、「お茶飲み」の光景にまつわる記事でした。

山盛りの野沢菜漬けを食べながら、お茶を飲み飲み、あれやこれやと語り合う。漬物もお茶もごくふつうのものですが、藤本さんたちはその「お茶飲み」を体験したいと思います。そして〈うちに、お茶飲みにおいでえな〉と声をかけてきた見知らぬおばあちゃんについて行く。そこで「ほんとうの美味いもん」に出会うのです。今はたいていの地方の名産品が取り寄せられますが、本書は実際に行って、そこに住んでいる人とコミュニケーションをとらないと味わえないものがあるということを教えてくれます。

1冊目と真逆のタイプだけれどおもしろいのが、佐藤亜紀の『外人術』。作家によるヨーロッパ個人旅行の手引書です。基本的に外人は金をぼられるために存在しているとか、外国で友達を作ろうと思うなとか、刺激的な言葉の数々に驚きますが、読み進めていくと、異文化における振る舞い方としては合理的だと腑に落ちる。ホテルやカフェでの過ごし方などはとても優雅で、佐藤さんのように帰属意識から解放されて、単なる余所者、つまり〈外人〉目線で世界を眺めてみたくなります。

平松洋子の『野蛮な読書』は、本にまつわるエッセイ集です。各地の食文化を取材している平松さん。いろんなところで読書を楽しんでいますが、本と読む場所の組み合わせに意外性がある。取り上げている本のジャンルも幅広く、旅先で読む本を選ぶためのブックガイドとしてもオススメです。

イラスト/水上多摩江 写真/アーク・フォト・ワークス(清水亮一)

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