初心者でもいきなり全国大会に出場できる

スカッシュは、テニスと同じくプレーヤーがボールを交互に打ち合う競技です。ただし、テニスと大きく異なるのは、四方を壁で囲ったコートで、両者が向き合わずに正面の壁に向かって打ち合い、横や後ろの壁も利用しながらゲームを進められるところ。

日本でただ1校、中高の部活動としてスカッシュ部を設けている洗足学園中学・高等学校の島田芳恵先生は、このスポーツの魅力を笑顔で語ります。「パワーとスピードのある選手が勝つとは限らないのが、スカッシュのおもしろさ。あらゆる壁を巧みに活用しながら打ち返す戦略性で、身体能力をカバーできるんです」

創部以来、同部の顧問を務めてきた島田先生は、大学時代にインカレでの優勝を経験しています。「誰でもチャンピオンに手が届くチャンスがあるのもスカッシュの魅力」なのだそう。

部長として部員をまとめる辻琴江さんは、ほかのスポーツとは異なる可能性に着目し、入部したひとりです。「どちらかと言えば運動が苦手だった私でも、始めた時点でみんなと同じスタートラインに立てるのがよかった。ときには私たちのためを思って厳しく、ときには母のようにやさしく接してくださる島田先生の存在も、スカッシュ部に入ってよかったと思う理由です」

同部の活動は、練習用のコートが限られているため、ローテーションを組んで曜日を分け、各自が週4日行います。「勉強との両立のために、練習も短時間で効率重視です。おかげで朝自習で効果を上げるといった時間の使い方ができるようになりました」(辻さん)

部活動の成果を試す場は、日本中からスポーツクラブ所属のジュニア選手が集まる全国大会。入部間もない部員もいきなり大きな大会に出て、試合の勘と経験を身につけることが可能です。「大会出場は、ほかの選手と違い、部員にとっては学校の部活動の一環。大会運営のお手伝いにも積極的に関わって多くを学びます。6年間の活動を終えて卒業する頃には、どの部員も謙虚さ、思いやり、感謝の心を兼ね備えた人間に成長しています」(島田先生)

競技人口が限られている分、海外から遠征に来る強豪選手と試合を通じて交流する機会も。「そういう大会では、うちの部員が通訳としても活躍するんですよ」(島田先生)

ラケットもボールもスカッシュ専用のもの。目を守る目的で20歳未満に着用が義務づけられているアイガードは、打球があらゆる方向から飛んで来る競技ならではのアイテム。

「スポーツクラブの選手に比べて練習時間や環境に恵まれていないから、負けても仕方ないと言われるのは嫌。逆境を物ともしないたくましいチームになるのが目標」(辻さん)

取材・文/堀雅俊 写真/東京フォト工芸(桑原克典)

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