第10回

『スティーブ・ジョブズ Ⅰ』

ウォルター・アイザックソン【著】
井口耕二【訳】
11年10月刊/講談社/ 1,995円
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『放浪の天才数学者エルデシュ』

ポール・ホフマン【著】、平石律子【訳】
11年10月刊/草思社/ 998円
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世界中を旅し、さまざまな数学者と共同研究を行った、ハンガリー出身の数学者エルデシュの伝記。彼が生涯で残した論文は、なんと約1500もあったという。

『舟を編む』

三浦しをん【著】
11年9月刊/光文社/ 1,575円
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出版社の営業職だった主人公が、言語の才能
を見いだされ、個性豊かな人物が集まる辞書
編集部へ異動することに。そこで、新しい辞
書を作るべく奮闘するのだが̶̶。


著者が最後に会った日、なぜ50回ものインタビューに応じてくれたのか尋ねると、スティーブ・ジョブズは〈僕のことを子どもたちに知ってほしかった〉と言ったそうです。本書を読むと、この言葉が切なく響きます。ジョブズは実の親に捨てられ、我が子を捨てた人だから。ウォルター・アイザックソンの『スティーブ・ジョブズ』は、ジョブズ公認の伝記。パーソナルコンピュータ(マッキントッシュ)、アニメーション(ピクサー)、音楽(iPod)、電話(iPhone)、タブレットPC(iPad)、デジタルパブリッシングという、6つの業界で革命を起こした天才の人生を浮き彫りにした本です。Iには、ジョブズの誕生から、ピクサーで映画「トイ・ストーリー」の制作に関わるまでが書かれています。 

ジョブズは完璧主義で、現実を歪曲させてでも自分の思い通りに事を運ぶ。友人や家族に対しては、深い愛情を示したり、急に冷淡になったりする。言動が極端すぎて、近くにいたら大変だろうなあと思いますが、影の部分が濃いだけ才能の光も眩しく、読んでいて引き込まれてしまいます。 

特に印象に残ったのは、両親とのエピソード。実母は生まれてすぐにスティーブを養子に出しました。「大卒であること」が里親の条件でしたが、実際に引き取ったジョブズ夫妻は、高校も卒業していません。けれども、彼らがいなければ、後のスティーブ・ジョブズは存在しなかったと言えるくらい、影響を与えているのです。何かを作るとき、見えないところまで手を抜かないことを教えてくれた父親。〈わたしたちは、あなたを選んだの〉と言ってくれた母親。2人に大事にされ、〈自分は特別な存在〉だと信じて成長したから、ジョブズは不可能を可能にすることができたのでしょう。 

ポール・ホフマンの『放浪の天才数学者エルデシュ』もおすすめ。ジョブズも、果物しか食べず風呂に入らない時期があったり奇行の多い人ですが、エルデシュもすごい。世界を放浪しながら1日19 時間問題を解く生活を続け、独自の単語を使って話します。とても愛らしくて魅力的な天才の伝記です。また、新しい辞書ができるまでを描いた、三浦しをんの小説『舟を編む』を読むと、天才というのは、他人と違うことを考え、情熱を持ち続けられる人のことなのかもしれないと思います。

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