第7回

『ネザーランド』

ジョセフ・オニール【著】、古屋美登里【訳】
11年8月刊/早川書房/ 2,415円
Amazonで購入

『釜石ラグビー 栄光の日々̶
松尾雅治とくろがねのラガーたち』

上岡伸雄【著】
11年8月刊/中央公論新社/ 1,680円
Amazonで購入

東北の伝統あるラグビー部が、一人の天才的指導者の登場によって、最強のチームへと進化していく過程と、その後に迫る。当時の関係者を80人以上取材した、渾身の一冊。

『ほまれ』

澤穂希【著】
08年7月刊/河出書房新社/ 1,680円
Amazonで購入

15歳で代表入りを果たし、女子ワールドカップに5回出場した澤選手。日本女子サッカー 界の最前線で活躍してきたエースが、選手として、人間として、人生を振り返る。


運動会など、親子で体を動かす機会が増える秋。スポーツの魅力が味わえる本をご紹介しましょう。

まずは、ジョセフ・オニールの『ネザーランド』。ロンドンに住むオランダ人のハンスが、友人チャックの訃報をきっかけに、かつて暮らしていたニューヨークの思い出を語る長編小説です。2002年、マンハッタンの銀行に勤めていたハンスは、妻子と別居していました。9・11の同時多発テロの後、アメリカに対する不安と、夫に対する不満を爆発させた妻が、息子を連れてロンドンの実家に帰ってしまったから。孤独なハンスを救ったのが、少年時代に親しんだクリケットです。

クリケットは、野球の原型ともいわれる球技。英語で〈クリケットではない〉とは〈立派な行為ではない〉という意味であることからもわかるように、礼節を重んじる、紳士のスポーツです。競技人口はサッカーについで世界第2位なのだそうですが、アメリカにおけるプレイヤーはマイノリティ。チームは移民で構成され、白人はハンスしかいません。はじめは疎外感を覚えますが、だんだん居場所を得ていきます。チャックとも、クリケットを介して知り合うのです。

試合中に起こったトラブルを、審判として解決したチャックは、手広く商売をやっているようですが、どこか胡散臭さも感じさせる人物。彼はハンスに、ニューヨークに本格的なクリケット試合場をつくるという夢を語ります。ハンスは実現するはずがないと思いつつ心惹かれ、協力もするのですが……。肌の色も性格も対照的な2人が、友情を育んでいく過程と、ニューヨークの風景描写がとても美しい。クリケットの試合も観たくなります。

クリケットと同じく、紳士のスポーツというイメージがあるラグビーをテーマにした、上岡伸雄の『釜石ラグビー 栄光の日々』も、ぜひ読んでみてください。社員としての業務もきちんとこなしながら、日本選手権7連覇を成し遂げた、新日鉄釜石ラグビー部の軌跡を追ったノンフィクションです。

一方、アルバイトをしながら世界一になった選手もいるということで話題になったのが、女子サッカー日本代表。エース澤穂希の自伝『ほまれ』を読むと、そのずば抜けた能力だけではなく、不屈の精神と、謙虚な振る舞いに、敬意を抱かずにはいられません。

今月の新刊案内
仕事について考えてみる秋
「子どもには世界を視野に入れて夢を追ってほしい」と考えているお父さんお母さんに、ぜひ読んでいただきた...>>続きを読む
今月の新刊案内
深まる秋を彩る秀逸な物語たち
児童文学のノーベル賞とも言われる国際アンデルセン賞作家賞を受賞した上橋菜穂子さん。大人も夢中にさせる...>>続きを読む
サイトマップ
人気記事ランキング
01 特集
そのひと言が子どもを変える! 学力を伸ばすほめ方・励まし方
02 スペシャルウィーク
9歳までに身につけたい国語力
03 子育てに効く脳科学のお話
頭をよくする方法はある?

サイト内検索
 

RSS登録
これまでの特集記事



気になる記事ピックアップ
これまでに公開された記事の中から気になる記事をランダムでピックアップし、表示しています。