クイズ感覚で親も中学入試問題に挑戦!
「わかるオモシロさ」「解ける喜び」を再発見してください。
読者代表として4人のお母さんが問題を解き、四谷大塚の人気講師が解説します。

次の文章を読んで後の問に答えなさい。

欧米諸国にならって改革を進めた明治時代には、(1)政府のあいつぐ取りしまりにもかかわらず、民衆の意見を国の政治に反映させるよう求める運動がさかんになり、ついに日本で最初の衆議院総選挙がおこなわれます。
問 下線部(1)について、この状況を表した絵としてふさわしいものを次から一つ選び、記号で答えなさい。

(あ)

(い)

(う)

(え)

制限時間5分 難易度 ★★☆☆☆
光塩女子学院中等科(平成21年度 一部改)

明治時代には官憲による言論弾圧が行われていました。
自由に発言できないことを示した絵はどれでしょうか。

風刺画を通じて時代背景や歴史の流れを読み解く

先生

今回の風刺画は、明治時代に来日したジョルジュ・ビゴーというフランス人が描いたものです。当時の世相を表す資料として、ビゴーの作品は教科書に数多く載っていますね。

キビ子

(あ)の釣りをしている絵は、特に印象に残っていますわ。

先生

「魚釣り遊び」と題されたこの絵は、やがて日清戦争へ至る日本と清の関係を表しています。1894年に勃発した日清戦争に勝利した日本は、朝鮮の利権を巡り、1904年の日露戦争を戦って勝利。さらに、1914年に起こる第一次世界大戦へと突き進んでいきます。

キビ子

あら、私としたことが、絵に見入って問題を忘れていましたわ。(あ)は答えではありませんわね。

先生

その通り。では、(い)は何を表している絵か、わかりますか?

キビ子

ノルマントン号事件を風刺した絵だったかしら。

先生

ご名答です。1886年に起きたノルマントン号という船の沈没事件ですね。船が沈没した際、ほとんどの白人が助かったのに対して、日本人乗客やインド人乗組員は全員死亡しました。この事件に、当然、日本人は激怒しましたが、当時は、外国人を日本の裁判で裁くことはできなかった。領事裁判権によってイギリス領事が審理を行い、イギリス人船長を無罪にしてしまったんです。

キビ子

本当に痛ましい事件です。この事件後、不平等条約を改正すべきとの動きが活発になったのですわよね。

先生

さすがキビ子さん、流れを掴めていますね。ついでにこの風刺画の意図を少し説明しておきましょうか。この絵はイギリスの非人道的な所業を皮肉ったものではありますが、ビゴーがイギリスを批判している真の理由は、「イギリスがこんなことをするから、日本に条約改正の気運が起きてしまったんだ」ということです。外国人のビゴーとしては、条約改正は時期尚早という意見でしたから。

キビ子

……複雑ですわね。

先生

各々事情がありますからね。さて、治外法権と関連するのが(え)の風刺画ですが、何の絵でしょう?

キビ子

鹿鳴館の舞踏会かしら。

先生

その通り。この絵は「社交界に出入りする紳士淑女」というタイトルなのですが、鏡に映った姿を見ると猿になっています。日本の欧化政策の象徴である鹿鳴館が完成したのは1883年のこと。不平等条約改正のため、日本の文明の高さを諸外国に示すことが目的でしたが、しょせんは〝猿真似"に過ぎなかったという、手痛い風刺ですね。

キビ子

では、今回の正解は(う)ということになりますわね。

先生

はい。これは言論弾圧を表した風刺画です。ちなみに、官憲が持っているのは、ビゴーが発行した風刺雑誌『トバエ』。「これに影響されるな」と言われているんですね。上の窓から覗いているピエロはビゴー本人です。

キビ子

風刺画1枚にいろいろな要素が入っているんですわね。興味深いわ。

A. う

ジョルジュ・ビゴー(1860-1927)は、1882年に来日したフランス人画家。お雇い外国人として絵画の講師を務めた後、報道画家として活躍。4枚の絵は、ビゴーが創刊した風刺雑誌『トバエ』(TÔBAÉ)に発表されました。居留外国人向けの雑誌でしたが、日本のジャーナリストに影響を与えるため、日本の新聞社や雑誌にも送付していたようです。絵のタイトルと内容は次の通りです。

(あ)は「魚釣り遊び」。日本と清が朝鮮を釣り上げ ようとしている様子を、ロシアが伺っています。(い)は「メンザレ号の救助」。ノルマントン号事件の約1年後に起こった海難事故。そこに日本人を描くことで、ノルマントン号事件を風刺した絵になっています。(う)は「警視庁における『トバエ』」。右側に座っているのは『毎日新聞』などの記者たち。(え)は「社交界に出入りする紳士淑女」。

ビゴーが風刺した日本の特質は、現代にも通じる部分がありそうです。新聞を読みながら、お子さんと語り合ってみてください。

高根澤祐司先生
四谷大塚市ヶ谷校舎専任講師。高校教諭を経て塾の講師に。

教育キビ子さん

教育熱心で、物事をキビキビと進める。子どもは小5と小3の兄妹。

「学生時代に教科書で見た絵ばかり。そもそも、同じ作者によって描かれていたことを初めて知りましたわ。」

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