第6回

『盗まれっ子』

キース・ドノヒュー【著】、田口俊樹【訳】
11年5月刊/武田ランダムハウスジャパン/ 2,415円
Amazonで購入

『ペンギン・ハイウェイ』

森見登美彦【著】
10年5月刊/角川書店/ 1,680円
Amazonで購入

4年生の「ぼく」が住む街に、ある日ペンギンが現れた。好奇心の強い彼は、謎を解くため研究を始める─。2011年本屋大賞第3位、第31回日本SF大賞受賞作品。

『T・S・スピヴェット君 傑作集』

ライフ・ラーセン【著】、佐々田雅子【訳】
10年2月刊/早川書房/ 4,935円
Amazonで購入

12歳の天才地図制作者が、世界一の博物館で研究するため、家を飛び出し、アメリカ大陸横断を目指す! 旅を通じて、家族や自分と向き合い成長する姿を描く、長編作。


 親にとって、我が子は取り替えのきかない存在。キース・ドノヒューの『盗まれっ子』は、人間の子どもと醜い妖精の子が取り替えられるという、ヨーロッパの取り替え子伝説を背景にしています。親の視点で読むとおそろしいけれど、取り替えた子も取り替えられた子も、愛おしくなる小説です。

 7歳の夏、家出をしたヘンリー・デイは、ホブゴブリン(子鬼)のグループにさらわれます。ホブゴブリンのひとりが、ヘンリーそっくりに変身して家に帰り、ヘンリー本人はエニディという名前に変えられ、ホニゴブリンの一員として森の中で暮らすことに。未知の世界に飛び込んだふたりの少年の冒険が、平行して語られます。

 痛ましいのはヘンリーと自分を取り替えるホブゴブリンも、以前は人間の子どもで、同じように連れ去られてホブゴブリンになったというところ。しかも取り替え子に選ばれるのは、何らかの問題を抱えた孤独な子どもなのです。彼に悪意はなく、ただ人間に戻りたくて、他人の人生を盗む。

 偽ヘンリーは、息子の様子に違和感をおぼえる両親をなんとかごまかし、本物のヘンリーにはなかった音楽の才能を開花させます。一方、エニディはホブゴブリンの生活に馴染んでいきます。学校もない、うるさい大人もいない、自由気ままに過ごす毎日。図書館の床下を隠れ家にしたり、楽しそうな場面もたくさんあります。

 しかし、元ホブゴブリンはヘンリーに、エニディはホブゴブリンになりきれません。恋をしても、今の自分は本来の自分ではないという意識がつきまとうから。ヘンリーはホブゴブリンになる前の自分のルーツを探し求め、エニディは人間だったときの記憶を取り返そうとします。ふたりがたどりつく場所とは・・・・・・。目の前に新しい世界がひらけるラスト一文がすばらしい!

 少年が森の中で不思議な生き物に出合うという意味で、併せて読んで欲しいのが、森見登美彦の『ペンギン・ハイウェイ』。語り手の小学4年生、アオヤマ君の、知的でユーモラスな語り口が魅力的な作品です。

 ライフ・ラーセンの『T・S・スピヴェット君 傑作集』も少年の冒険を描いていますが、図版が非常に凝っていて、きっと自由研究のヒントになる! 画期的な本です。読めば、大人も何かを探求したくなります。

今月の新刊案内
仕事について考えてみる秋
「子どもには世界を視野に入れて夢を追ってほしい」と考えているお父さんお母さんに、ぜひ読んでいただきた...>>続きを読む
今月の新刊案内
深まる秋を彩る秀逸な物語たち
児童文学のノーベル賞とも言われる国際アンデルセン賞作家賞を受賞した上橋菜穂子さん。大人も夢中にさせる...>>続きを読む
サイトマップ
人気記事ランキング
01 特集
そのひと言が子どもを変える! 学力を伸ばすほめ方・励まし方
02 スペシャルウィーク
9歳までに身につけたい国語力
03 子育てに効く脳科学のお話
頭をよくする方法はある?

サイト内検索
 

RSS登録
これまでの特集記事



気になる記事ピックアップ
これまでに公開された記事の中から気になる記事をランダムでピックアップし、表示しています。