踊りと掛け声の練習で積極性が増す生徒も

 日本各地の盆踊りの中でも、徳島県の名物として、全国的に知られる阿波踊り。その阿波踊りを部活動として行っているのが、豊島岡女子学園中学・高等学校の「桃李連」です。「連」は、徳島で踊り手の集団を指す言葉。徳島出身で、地元の連に所属していた原京子先生が同校に着任したことが、阿波踊り部誕生のきっかけになりました。

 女子の部活動としては、全国で唯一ということもあり、今では55人の大所帯。板張りの練習場にあふれんばかりの部員たちが「踊り込み」と呼ばれる、身体に踊りを覚え込ませる練習に励んでいます。腰を極力沈めた状態で行う「男踊り」と、両腕を上げたまま踊る「女踊り」。いずれも15分も続けると、息が上がって動きのキレがなくなってきます。そんなときは、上級生から下級生に向けて「手をもっと高く挙げて!」「歯が見えるくらい笑って!」といった部員を励ます声が飛びます。

 踊りながら掛け声を発するのも、阿波踊りの特徴。「やっとさ」とひとりが声を出すと、皆が応えるように「やっとさやっとさ」と返します。「地震雷火事親父 負けじと踊るは桃李連」というオリジナルの掛け声もあります。

 「引っ込み思案の生徒でも、みんなと一緒に踊りながら、大きい声を出し続けているうちに、どんどん積極的な性格に変わってくるんです」(原先生)

 コツコツと練習を積んだ部員が、晴れ姿を披露するのは、文化祭などの校内行事と地域の阿波踊りイベントです。「出演前にみんなで円陣を組み、掛け声で気合いを入れる瞬間が好き。“いい仲間に恵まれた”と、幸せな気持ちになります」と、部長の児玉安奈さん。

 地域イベントでは、東京では珍しい女子中高生の華やかな連に「かわいい!」「上手だね」という声が、いたるところから上がるようです。

 「見物の方から褒めてもらえると、精一杯の踊りと笑顔でお返ししたくなります」(児玉さん)

 「桃李もの言わざれども下自ずから蹊を成す」──『史記』に書かれた言葉そのままに、見ているだけで笑顔になれる「桃李連」のまわりには、自然と道ができるように人が集まります。

「阿波踊りを踊れる人は少ないので、特技を聞かれたときに人とは違う答 えを返せます。海外に行ったとき、日本の文化として紹介できてよかったという先輩もいます」(児玉さん)

踊り手のフォーメーションを図にして皆で確認する。構成は各学年が交代で担当。「その方がさまざまなアイデアが出ますし、下の学年の自主性も養えるんです」(原先生)

学外での活動は、今のところ昼間に出演できる豊島区大塚の阿波踊りイベントのみ。今年からは卒業生による連とも共演。活動の輪を少しずつ広げていくのが、今後の目標だそう。

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