第5回

『おしゃべりな貝               
─拾って学ぶ海辺の環境史』

盛口満【著】
11年3月刊/八坂書房/ 1,995円
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『ニッポンのヘンな虫たち』

日本昆虫協会【監修】
11年3月刊/学習研究社/ 1,995円
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アメンボやコガネムシといった、ちょっと変わった生態を持つ虫たちを、雑学を絡めて紹介する。イラストや写真が豊富なので、眺めているだけでも楽しい一冊。

『先生、キジがヤギに
縄張り宣言しています!』

小林朋道【著】
11年3月刊/築地書館/ 1,680円
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鳥取環境大学教授である筆者が、大学周辺で見た動物たちのおもしろい生態を紹介する人気シリーズの第五弾。軽妙な文章で、子どももきっと気に入るはず。


 貝殻って、つい拾ってしまいませんか? わたしもきれいだなと思って幾度も持って帰ったけれど、図鑑で何の貝殻か調べたりしたことはありません。盛口満の『おしゃべりな貝』を読むと、小さな貝殻に、実はさまざまな物語が秘められていることがわかります。子どもと一緒に海水浴や潮干狩りに行く前に、ぜひ手にとってみてください。きっと、浜辺を観察するのが楽しくなるでしょう。

 本書には、ハッとする発見がたくさんあります。たとえば、盛口さんが生まれ育った千葉県館山市の小島で拾った貝殻を調べてみると、関東地方では6000年前に絶滅したはずのハイガイが見つかるところ。〈貝殻は丈夫であるがゆえに、僕らの予想を超えて、「時」を越える。〉〈つまり、貝殻は、渚のタイムトラベラーではないか。〉無意識に拾った貝殻が、時間旅行をしていたなんて。わくわくします。

 大学の授業の話にも驚きました。盛口さんは貝について講義するときに、なんとアサリの味噌汁をつくります。アサリが煮えるまでに貝にまつわるクイズを出題し、学生と一緒に食べながら答えを解説する。家庭でも真似したくなる教え方です。

 千葉、東京、沖縄、長崎、大分……盛口さんは日本各地をめぐって、貝殻が旅した時について調べます。諫早湾の干拓など、シリアスな環境破壊の問題も入ってきますが、告発には重点が置かれていません。貝を愛し、何かを学ぼうとしている人々の、明るく前向な姿勢が心に残ります。

 それにしても、生き物が好きな人はユニークで魅力的です。たとえば『ニッポンのヘンな虫たち』。日本昆虫協会が監修した珍虫ガイドですが、冒頭に収録された選考会議からかなりディープ。特に、小学4年生のときに見つけた一枚の翅がきっかけで蛾マニアになり、中学生になると専門誌で連載するようになった女性のエピソードにうなりました。蛾を愛づる少女の才能を伸ばしたお父さんもすばらしい。

 自然について学びたいお子さんがいるなら、小林朋道の「先生シリーズ」も参考になるかもしれません。最新刊は『先生、キジがヤギに縄張り宣言しています!』。人間と動物たちが里山の大学で巻き起こす珍騒動。笑いながら知識が身につき、研究室がどんなところかも垣間見える本です。

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