第4回

『とんでもなく役に立つ数学』

西成活裕【著】
11年3月刊/朝日出版社/ 1,470円
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『日本語教室』

井上ひさし【著】
11年3月刊/新潮社/ 714円
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戯曲、エッセイ、小説など幅広い分野で活躍した“言葉の使い手”である筆者が語った日本語のこと。講演をまとめたものなので、さらりと読めるところも魅力だ。

『たのしい写真
─よい子のための写真教室』

ホンマタカシ【著】
09年5月刊/平凡社/ 1,680円
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木村伊兵衛賞も受賞し、美術から広告までさまざまな分野で活動する写真家が、わかりやすくかつ新しい視点で語る写真論。これから写真を始める読者にぴったりの一冊。


 もし自分が親だったら、子どもと一緒に読みたい。そんな本が出ました。西成活裕の『とんでもなく役に立つ数学』は、都立三田高校で四日間にわたり行われた特別授業を書籍化したもの。 まず、本書が素晴らしいのは、数学の考え方の話からはじめるところです。最初は数字や数式を使わずに、言葉遊びをすることで、数学の論理とはどういうものかわかるようになっています。短い文章をたくさんつくって、適当に選んだふたつの文章をつなぎ、ストーリーつくる。このトレーニングが、実に楽しい! 文系科目は得意だけど数学は苦手という人は、ぜひ27ページから30ページを読んでみてください。きっとハマります。 イコールの深い意味や、トランプ手品を例にした群論の説明、ナッシュ均衡を紹介するときのたとえ話「囚人のジレンマ」など、数学オンチの興味を引くトピックも盛りだくさんで、飽きさせません。子どもの頃から数学が大好きで、高校時代には胸ポケットにいつも難問をひとつ入れていたという著者だけあって、数学の魅力を知りつくしています。問題を解くのがうれしくて仕方がないという感じ。

 またタイトルに偽りなく、数学がどんなふうに実生活に役立つかということも書かれている。「自分の」ではなく、「他人の」役に立つ、というのがポイントです。特に著者の専門である「渋滞学」の話がすごい。渋滞がなぜ起こるのか。数学を使って分析し、〈個の協力が全体の最適化につながる〉ことを証明してみせるところには、感動を覚えました。 

井上ひさしの『日本語教室』は上智大学で行われた特別講座をまとめた本。「日本語とはどういう言語か」というのが主題です。freedomを「自由」と訳したから日本では自由が敵視されるという話に考えさせられ、国連公用語にスペイン語が入ってきた理由など、脱線部分も興味深く一気に読まされます。 Photographの本来の意味は「光画」。なのに「写真」と訳している奇妙さを発端に、写真は真実を写すだけのものではないということを語る、ホンマタカシの『たのしい写真』も知的好奇心を刺激する一冊です。写真史を「決定的瞬間」と「ニューカラー」というキーワードで解説。読めば、写真の見方が変わるでしょう。

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