同じ言葉・単語を使っても解釈が違うのは当たり前

西條美紀先生の専門分野である社会言語学は、社会の中で言語がどのように使われているかを探る学問。

「研究テーマのひとつが、職場での会話です。仕事でコミュニケーションがうまくいかず、職場の人間関係が悪くなることがありますが、それがなぜ起こるのかを分析しています」

人はそれぞれ、知識や年齢、経験などの背景が異なるため、同じ単語を使っても解釈が違ってしまうことがあります。その違いの積み重ねが、悪い雰囲気を作り出すのです。

「たとえば、ある科学の専門用語について、科学者同士でも専門分野が違えば、イメージするものが異なるということは、よくあります。重要なのは、〝違いがあって当たり前.と気づくことです。言葉がうまく伝わらず、自分の言った通りに他人が動いてくれなくても、相手を責めたり怒ったりしてはいけません。周囲が萎縮して意見を出してくれなくなりますので、感情的にならず、なぜ自分の意図が伝わらなかったのか検証することが大切です」

具体的な学ぶ内容を、学生が書いたレポートで説明してくれました。

「信頼関係が十分でないと感じている担当教授との会話を録音して紙に書き出し、どの言葉で解釈の違いが生まれたかを分析した学生がいます。話したことの一つひとつを分析して、A4の用紙60枚の大作に仕上げてきました。講義そのものは、こうした分析の手法と背景となる理論を中心に展開します」

理系のリーダーに必須の文系のスキル

社会言語学の発展的科目として、お茶を飲みながら科学の話をする〝サイエンス・カフェ"という科目も。

「もちろん、単におしゃべりしているだけではなくて、テーマを決め、科学的な内容についての情報提供を行う機会を設けます。〝自分とは知識や経験が異なるお客さんを相手に、どのように言葉を使ってテーマを共有できるか.がキーポイント。先日は、においと記憶の関係をテーマとして、においを感じるメカニズムの説明や〝においと記憶に関連する、こんな商品があったらいい.という話し合いなどをしました」

また西條先生は、自身の研究手法を裁判員制度にも応用しています。

「多様なバックボーンを持つ人々が裁判員となり、法律に関する知識の異なる裁判官と裁判員の9名が話し合いによって判決を決めるのが裁判員制度。9人全員が、その能力を発揮できる話し合いの方法や、裁判の審議を進めていくためのルールを作りなどについて、研究・助言を行っています」

社会言語学は、理系の学生ばかりの東京工業大学では、異色の文系の学問。

「とは言え、科学者が講演で一般の人にわかりやすく科学の楽しさについて話すときや、教授が専門知識の足りない学生に講義を行う際などにも役立ちます。また、理系の研究・開発を、リーダーシップを発揮して進めていく際にも必須のスキルと言えるでしょう」

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