いよいよ入試まであと150日。 入試本番に向けて、過去問対策を始める時期となりました。 過去問対策とひと口に言っても、 ただ過去問を解くだけでは実力はついてきません。 では、本当に実力のつく過去問対策の方法とは?  今回は、「合格を勝ち取る」ための入試過去問対策について解説します。 取材・文/二本木昭 写真/アーク・フォト・ワークス(渡邊裕未)

入試過去問対策5か条

入試過去問対策を行う上で、気をつけたいポイント5か条をご紹介。算国理社、それぞれの教科を受け持つ四谷大塚の講師陣が、基本的なことから、あまり知られていないコツまで、徹底的に解説します。

1.メリハリをつけて少ない時間で解くべし

2.第1志望校は過去5~6年解くべし

3.計画的にやり方を考えてから臨むべし

4.時間をしっかり計って解くべし

5.結果は追い込み学習の教材にすべし

過去問の出題傾向は学校からのメッセージ

一般的に受験生は、6年生の夏休みが終わる頃までに、入試で問われるすべての単元・学習範囲をひと通り学び終わり、秋から志望校の入試過去問題に取り組みます。

入試過去問題、略して過去問をやる大きな目的は、言うまでもなく学校ごとに異なる入試の出題傾向をつかむこと。過去問を分析すれば、頻出の単元・分野に加え、「この学校はスピード重視」「とにかく記述が多い」など、受験生に求められる能力を知ることもできます。それは、「こんな生徒に入学してほしい」という学校からのメッセージでもあるのです。

子どもと過去問には相性があり、経験豊富な塾の先生であれば、「この子は、A中学校は難しそうだけど、むしろそれより偏差値的に上のB中学校のほうが可能性は高そうだ」などもわかります。合不合判定テストなどの、模擬試験で算出される偏差値だけでは図れない、逆転合格があるのはこのためです。

また過去問には、よく考えて作られた良問が多く、それを解くことでさらに学力を向上させることもできます。では、合格を勝ち取るために、過去問をより効果的に活用する方法を、5か条のポイントに沿って見ていきましょう。

1.メリハリをつけて少ない時間で解くべし

週2〜3日の塾のない日に取り組む

過去問対策を行う大前提として、「受験するすべての学校の過去問をチェックする」というのが、4人の先生共通の意見。しかし、すべての学校に同じだけの力を注ぐということではありません。第1志望・第2志望の学校を重点的にチェックし、メリハリをつけた対策を行うべきと言います。

「全受験校の過去問を、じっくりやれるほどの時間はありません。この時期になると6年生は、個人差がありますが、週4.5日塾に通うのが一般的。塾のある日は、その日の予習・復習で精一杯です。残りの日のどこかで、時間をつくってやるしかありません。私は、10月末くらいから過去問を生徒にやらせ始めますが、最後に余力がなくなりそうだと感じた生徒には、少し早めに手をつけさせます」(助宗先生)

「10月頭から1月末まで、週1回ペースで計15週解くように言っています。それなりのペースでやっても、計15年分ほどしかできないということです。その15年分を、志望順位の高い学校に重点的に配分します」(辻先生)

「私は、9月の合不合判定テストが終わった後、10月上旬から過去問に取り組ませます」(阿部先生)

「一般的に、過去問にチャレンジするのは10月下旬から。理科は、土台ができていれば9月下旬から始めてもいいでしょう。ただいずれも、第1志望校の過去問については、最初の頃は2.3割しか正解できません」(大川先生)

それまでに受けてきた模擬試験などの出題形式と、過去問の出題傾向は違います。それにとまどう生徒も少なくないそうです。「多くの生徒が、過去問で合格点に達していないのに、本番では合格を勝ち取っています。逆に、過去問で点が取れても、必ず受かるものではないというのが現実です」(辻先生)

過去問はどうしても自己採点が甘くなり、実力以上に点数が高くなる傾向が。保護者も、合格最低点が取れるかに気が行きがちです。間違えたところを対策することが、合格を勝ち取るために重要だと、肝に命じておきましょう。

2.第1志望校は過去5~6年解くべし

算・理・社の3科と国語に大きな違いが

効率的に過去問を解くには、学校の志望順位によって、過去何年分に手をつけるか、考える必要があります。

「入試問題は、3年、6年という周期で出題傾向が変わることがよくあります。中学の3年間もしくは中高6年間が終わり、生徒が一回転するタイミングで、問題を作る先生を変える学校が多いからです。というわけで私は、第1志望校を6年、第2・第3志望校を3年、それ以外の学校は1年分やるように話をしています」(助宗先生)

算数の辻先生と理科の大川先生も概ね同意見です。「第1志望校と第2志望校を6年ずつ。第3・第4志望は2.3年でいいでしょう」(辻先生)

「第1志望を5.6年。あとは助宗先生とほぼ同じです」(大川先生)

過去問に対するスタンスが、ほかの教科と大きく違うのは国語。「国語は、第1志望か第2志望どちらかを3年分、まず問題文を徹底的に読み込みながら読解力を養います。第2志望から始めるのは、生徒の文章読解力を考えて、第1志望の国語の問題のハードルがあまりにも高いと感じたときです」(阿部先生)

あれこれ問題をやるよりも、3年分の問題を繰り返し読んで真の読解力を身につけさせるのが重要とのこと。12月末までに読解力がつくように指導を行っているそうです。「そうすれば、あとはどんな問題文でも対応できます。第3志望以降の学校は、1年分を解く程度でOK。しっかりした読解力があれば、第3志望以降の学校の問題は、読むだけで答えが出るくらいのレベルになっているはずです。1月以降は、第3志望以降の学校を中心に漢字・言語要素など、知識分野の最終点検をします」(阿部先生)

最後に全教科について、複数回入試を行う学校への対応を聞きました。「回によって問題の難易度が変わる学校があるのは事実ですが、同じ回に関して言えば、毎年パターンは似てきますので、生徒自身が受ける回の問題をやりましょう」(辻先生)

3.計画的にやり方を考えてから臨むべし

4教科通してやるのは入試前の1回でOK

過去問を解くとなると、本番に備えるために、ある年度の試験を4教科通して解くべきと考えがちです。「本番の予行演習のために過去問を4教科通して解くのは、入試直前の1回だけで大丈夫です。と言うより、そんなにまとまった時間は取れないでしょう。〝○○中学の算数は、この日のこの時間にやる.というように、1教科単位で計画を立てるべき」(辻先生)

複数年の過去問をやる場合、そのやり方も教科ごとに異なります。「社会に関しては、上の図のように、各志望校につき1年分ずつやって、それを繰り返します。D校をやる頃にはA校の出題形式を忘れていて、より知識の確認・定着に効果的というわけです」(助宗先生)

「算数は、3年やるなら3年分学校ごとにまとめてやります。そうしないと、学校ごとの問題のクセがつかみきれません」(辻先生)

「国語はほかの教科とは違って、1校・1年分の問題につき、3日間・のべ5時間くらいかけて完全解答を目指すよう指導します」(阿部先生)

過去問の年度については、古い年度から行うことの危険性もあります。「時間がなくて、新しい年度の問題に手がつかない恐れも。本番直前にやるため最新の年度だけ残して、そこから過去へさかのぼっていくほうが無難でしょう。私は、過去問をやるスケジュール表を作ることをおすすめしています」(大川先生)

4.時間をしっかり計って解くべし

本番より3分程度短く捨てる問題の見極めも

過去問対策では、いかに時間内に合格点を取るのかという点も、考えなければいけません。実際に、過去問を解く際には、制限時間をどのように設定すればいいのでしょうか。

「実際の試験時間より3分程度短くしましょう。入試本番で見直しの時間をつくるためです。最初はなかなか時間内にやりきれないので、ある程度、過去問に慣れてからでも構いません」(大川先生)

「私は時間を削減するのは2.3分と言っています。社会は、本番で細かく見直しをすると迷いが生じて、かえって不正解を選んでしまうことがあり、誤字の確認程度の見直しでいいと考えています」(助宗先生)

ここでも異色なのは国語。「国語は、時間無制限でやらせます。記述問題なども、あえて制限字数を外して、たくさん書かせますね。〝時間内、字数内で書く訓練は、いつやるの?という疑問が出てくるかもしれませんが、それについては週1度の週例テストでやっていますので、それで十分でしょう」(阿部先生)

時間を計ることには、捨てる問題を見極める訓練という意味も。「たとえ開成中学校でも、捨てていい問題はあります。本番でも解けそうにないと判断したら、その問題を解けるように学習する必要はありません」(辻先生)

「理科も、捨てていい問題はありますが、12月いっぱいまでは粘り強くやらせます。捨てる問題を見定めるのは1月から。また、過去問を解いた時間の、約2倍の時間をかけて、できなかった問題の復習をすることがとても大切です」(大川先生)

5.結果は追い込み学習の教材にすべし

復習には親のサポートが必要

過去問対策は、「やりっぱなし」では力になりません。その結果を、入試直前の学力向上に活かすのが大切です。

「算数は、答案用紙に加え、図や式、メモなど解答の際に書いたものをすべて提出させます。それをチェックすることで、生徒がどのポイントを理解していないのかがわかります。保護者にできることで効果的なのは、間違えた問題の対策を講師に尋ねることです」(辻先生)

「左の図のような、間違えた問題に焦点をあてるノートを作るのも手です。それでも解けない苦手な問題は、さらに小さなノートにまとめます。やらない年度の過去問を分野別に分け、苦手分野を集中的に解かせるのもおすすめ。以上は、保護者が我が子を手伝える部分です。最初は大変ですが、徐々に苦手分野が減るので負担も軽くなります。ノートは後から手軽に見直せるので、かえって学習時間の短縮にもなります」(大川先生)

社会の復習は、解答・解説を読み、間違えた問題の関連事項を書き出させます。書くことで、頭の中を整理させるのです。

「たとえば、ポーツマス条約と下関条約を間違えたら、日清戦争、日露戦争、三国干渉などの事件を書かせて、それぞれ説明させます。基本的に、記述問題以外は生徒で自己採点できますが、採点が甘くならないよう、横に親が座って見守るくらいはしましょう」(助宗先生)

「国語は、特に記述問題がプロの講師でないと採点できないので、保護者にできることはあまりありません。指導の仕方ですが、すべての問いに対し時間無制限で〝これ以上ないという答えを先生に出しなさい.と言っています。1回でOKという子はまずいないので、4.5回は突き返しますね。じっくりと学習して読解力を養っています」(阿部先生)

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