さまざまな渋滞の解消を数学・物理学的に考える

「私の研究室では、主に『渋滞学』の研究を行っています。車の渋滞のメカニズムを解明する研究はもちろん、さまざまな『渋滞』に取り組んでいます。たとえば、通勤時の満員電車や、人が多くて歩きにくい駅構内、給料日の銀行ATMの行列など、人もまた渋滞します。インターネットがつながりにくい状態などは通信の渋滞と言えるでしょう。こうした渋滞を解消することは、社会への大きな貢献となります。その方法を数学・物理学的に探るのです」(西成活裕先生)

西成先生の専門は、数理物理学。中でも空気や水の流れ、流体力学の基礎研究を行っていました。「誰もやっていない新しい分野を開拓したいと思い、人やモノの流れ、つまり渋滞という視点を得ました。学生たちにも、"既存の研究分野で満足してはダメ。新しい学問を作るくらいの気概を持て"と言っています」(西成先生)

ゼミは原則、修士・博士課程の学生対象で、公共施設などでの実験を重視。「成田空港でも実験を行っており、出入国審査の行列の作り方は、私たちの研究成果が実際に空港の業務で採用されています。車の渋滞の実験は、50㎝の位置の差を認識する、超高性能のGPSを積んだ車を運転して実施します。企業の工場で、商品在庫のたまり方を見せてもらうこともあります。在庫もまた経済上の渋滞と考えてのことです」(西成先生)

国際社会に貢献するスーパーマンを育てる

実験で得た結果は、高度な数学によってモデル化します。「たとえばアリの行列を観察し、その習性を数学で解明していきます。海外の生物学者と提携して、より精密な理論を探っていくのです」(西成先生)

医学部の教授との共同研究もあります。アルツハイマー症は、神経細胞に必要な物質の渋滞が原因であり、その渋滞を数学的に分析し、治療のヒントにすることができるそうです。「経済学の分野ならば、08年に起きたリーマンショックは、車の渋滞に似た構造を持っています。金融商品の取引がどんどん行われている時期というのは、車が時速100㎞で車間距離を詰めて走っているようなもの。そこで誰かが怖じ気づいてブレーキを踏んだ結果、クラッシュが起きたわけです。そのタイミングを数式で計算することも可能でしょう」(西成先生)

イタリア、ドイツ、中国、インドなど海外で行われる学会へは、先生は年4〜5回、学生も年1〜2回参加。英語は必須で、ゼミの授業も日本語を禁止、英語で行っているとのことです。「学生には、自分の専門分野一本だけではなく、分野問わず何でもやれ、とハッパをかけています。数学と物理のスペシャリストでありながら、それを武器に、さまざまな分野においてゼネラリストとして活躍してほしい。国際社会に貢献するスーパーマンの育成が目標です」(西成先生)

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