孔子の『論語』を読むことは不可能!?

小島毅先生の専門は中国思想史。中でも、12世紀に朱熹(しゅき)という儒学者が、儒教の新しい学問体系として構築した「朱子学」が、主な研究テーマです。「"朱子学の形成とその後の広まり方が、なぜ、現在に至る形をとったのか"という問題について、哲学だけではなく、当時の政治的・文化的な要因という視点から考える作業を進めてきました」

研究で取り扱う文献として、儒教の重要な教典・四書五経の中から『易経』を例に挙げていただきました。「『易経』という文献は、"易"という字の通り、もともとは儒教と関係のない占いに関するものです。それを儒教の学者たちが、自らの教えに取り入れた意図や過程について調べる、といった研究をしているのです」

小島先生は、大学の学部と大学院の両方で指導にあたっています。「学部で行うのは、儒教についての専門教育とその土台作りの両方。"経学概論"という講義では、全ての経書を毎回読み切りで解説しています」

大学院の授業では、儒教の創始者である孔子の言行録『論語』について、朱熹がつけた注釈を扱ったりします。「実は『論語』は、2500年以上昔の中国の言葉で書かれたため、読むことは不可能です。現在、私たちが目にしているものは、朱熹や、ほかの儒学者の注釈をもとに現代の言葉で再構成されたもの。注釈は、儒学者の間でも異なることがありますが、その理由を考えることも、この分野の学問のおもしろさと言えるでしょう」

1人の偉人が歴史を動かすわけではない

中国思想文化学研究室に所属する大学院生の研究テーマは、多種多様。「修士・博士論文の内容は、哲学思想を扱うもののほか、"秦漢の法制度""江戸時代の儒学""近代の上海演劇""中国の宮廷音楽""風水思想の歴史"など。幅広いテーマを扱っています」

中国や台湾での国際学会では、発表や意見交換は基本的にすべて中国語。「アメリカ人も中国語で話します。また私の研究室では、博士課程に進んだ場合、1〜3年にわたり中国語圏に留学するのが慣例です。単なる語学留学ではなく、本場中国の大学院でさらに専門性を高める勉強をするわけです」

研究に際し、"なぜそうなったか"を突き詰めることの大切さを、民俗学者・柳田國男の"常民"という用語を用いて、小島先生は語ります。「"常民"とは、その国に住む一般の人々のことを指す用語です。思想や歴史は、1人の偉人や政治家だけが動かすものなのでしょうか。過去に招いてしまった戦争は、常民がその動きを支持したからだとは考えられないでしょうか。"常民"とは、現代の私たち自身のことでもあります。今、日本と中国はさまざまな難しい問題を抱えていますが、"常民"として賢い選択をするためにも、思想や歴史について学ぶことは意義深いことだと、私は思います」  

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