第9回
もしも嫌いな"先生"がいたら……

身の周りの"先生"を尊敬することが大切

子どもは、何かにつけ好き嫌いが多いものです。前号で、嫌いというレッテルを張ることは脳にとって悪い習慣であることを述べました。では、子どもが嫌いになったらまずいものの代表は、何でしょうか?

答えはずばり"先生"です。

塾や学校、習い事に限らず、さまざまなことを教えてくれる大人を、子どもは先生と認識します。つまり子どもにとって最も身近な先生は、親であると言えます。先生を好きになることは、子どもの脳を育て、その力を引き出す最大のきっかけとなります。まずは親が子どもにとって、好かれる先生であるように努力することが大切です。

親は子どものよい先生であるよう、自分で努力することができますが、我が子の周りにいる"先生"がすべてよい先生であるかと言うと、なかなか難しい場合もあるでしょう。ときには熱意のない先生もいるかもしれませんし、子どもとの相性もあります。もし、子どもが学校や塾、習い事など、自分の先生を尊敬できていないようであれば、親はどうしたらいいのでしょうか。

まず取り組むべきは、「子どもの前で先生の悪口を言わない」ということです。子どもは、親が悪く言う人物を尊敬することはできません。その先生のいい部分を見つけて、それとなく褒めることで、子どもの目も先生のいい部分にいくようになります。子どもは親の言葉に敏感です。そのことを充分に自覚して、子どもと接しましょう。

手を尽くしても無理な場合は?

しかし、親が手を尽くしてもどうしても先生を尊敬できない場合はどうしたらよいのでしょうか?

ここでは3つの方法を教えます。人間の好き嫌いと言う脳機能は、自分を守る自己保存の本能を基盤に生まれ、自己保存の本能は自尊心というこころによって変化します。つまり、脳機能は本能とこころが一体に機能しています。どうしてもお互いに好きになれないのはこのバランスが崩れる事によって発生するのです。その原因がどこにあるかを冷静に突き止めるとその解決の糸口が見えてきます。

先生に人前で叱られて自分の自尊心が傷つけられた、成果が出せないので嫌な思いをした……。そんな場合、自己保存の本能が自然に働いて、いつの間にか先生の顔を見るのも嫌、しゃべり方も嫌になる……。先生を好きになれない原因は、自分の立場を守る自己保存の過剰反応が原因であることが多いのです。つまり、ひとつ目の方法は、嫌な事でも乗り越える才能を磨く事です。

ふたつ目には、この難しい困難な状況でも自分はこの科目の才能を伸ばすのだと考え、本能とこころのギャップを克服する方法です。嫌いな先生の科目でも、その科目を好きになり才能を伸ばすモチベーションを高める事です。あらゆる分野で超一流になった人は全てこの試練を乗り越えているので、将来、才能が光る子どもになるチャンスを神様がくれたと考えて、明るく前向きに立ち向かう事です。一流の人が身につけている本能の克服法です。

3つ目の方法は、次に述べる、損得抜きに全力投球する習慣を、親が意識して身につけさせ、これを糧に磨く方法です。

手抜きをしない親こそ最高の先生

3つ目の方法で、大切なことは「親が手を抜く姿を見せないようにする」ことです。脳科学的に見ると、人間の能力は、「こつこつと積み重ねる」よりも「一気に駆け上がる」ほうが伸びる、ことは以前にも述べました。しかし、手を抜くことは、一気に駆け上がることの対極に位置しており、一度そういう習慣がついてしまうとなかなか抜けないものです。

逆に子どものうちから、手を抜かないことが当たり前だと思っていれば、成績が伸びたからと言って油断することもなく、さらにそこでハードワークができ、その結果、脳の力もぐんぐん育っていきます

最後まで手を抜かないことは、なかなか難しいことですが、親が目標を持ち、そこに向かって粘り強くがんばる姿勢を見せれば、子どももあなたを最高の先生として、最後まで手を抜かずにがんばれる子に育つでしょう。

林 成之
1939年富山県生まれ。日本大学医学部卒。マイアミ大学の脳神経外科などに留学し、93年に日本大学医学部付属板橋病院救命救急センター部長に。2006年に日本大学の教授へ就任。 脳低温療法など世界的な発見で知られる脳科学の第一人者。 著書に『勝負脳の鍛え方』(講談社)などがある。
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